アシックスは近年の業績伸長を受け、同社グループが保有する政策保有株式を2024年内に全て売却すると12日に発表した。また、金融機関や取引先など事業会社による政策保有株式の大部分も削減。旧来的な株主構造から脱却し、「資本市場においてもフロントランナーになる」(廣田康人会長CEO)。
アシックスは同日、2024年12月期連結業績予想の大幅な上方修正も発表している。「アシックスは海外売上比率が80%超。日本発のグローバルブランドを目指しており、同様に資本構成もグローバルにしていく。海外の機関投資家に株式を長期保有して成長を見守っていただき、われわれも緊張感を持って経営に臨む。競合であるスポーツメーカーと同じような資本構成にしていきたい」。
政策保有株式とは一般的に、企業が純粋な投資としてではなく、取引先との関係維持や買収防衛といった経営戦略上の目的で長期で保有している株式のこと。株式の流動性が下がり、コーポレートガバナンスの低下にもつながる可能性があるため、海外の機関投資家からは厳しい評価を受けることが多い。
アシックスは政策保有株式の売却により、「60億円以上の売却益を得る」(林晃司 最高財務責任者)。これを成長投資や株主還元に充てていく。