有価証券報告書によると、日本のファッション＆ビューティ関連の上場企業全110社の中で報酬が1億円を超えた役員は36人になった。前年は31人だったので5人増えたことになるが、女性はゼロだった。最年長は、パルグループホールディングスの有光靖治・取締役相談役で90歳、最年少はファーストリテイリングの柳井康治・取締役で47歳だった。（この記事は「WWDJAPAN」2024年7月15日号からの抜粋です）
不動の1位は、伊藤忠商事の岡藤正広・会長CEO（74）。繊維カンパニー出身で、同社の2024年3月期の純利益は8018億円。万年4位といわれた同社を三菱商事とトップを争うポジションに引き上げた敏腕経営者の一人だ。
24年報酬ランキング最大の注目企業が、2位にランクインした井上英隆前会長（88）を筆頭に5人がランクインしたパルグループホールディングスだ。「スリーコインズ（3COINS）」、通称「スリコ」が絶好調で、売上高は前期比17.1％増の1925億円、営業利益は同17.6％増の186億円、純利益は同29.0％増の128億円と過去最高を更新した。創業者の井上前会長の引退に伴い、本人に加え、前会長を長く支えた重鎮たちにも多額の退職慰労金が引き当てられた。井上前会長の報酬6億7500万円のうち、退職慰労金は5億900万円になる。ランキング内最年長となる同社の有光靖治相談役（90、12位）は、井上前会長の右腕として同社の経営を長く支えた功労者だ。
世界市場で高い存在感のあるグローバルカンパニーの報酬は高い。日本企業の強いスポーツ分野からはアシックスの廣田康人会長CEO（67、14位）と尾山基前会長（73、31位）、ミズノの水野明人社長（74、35位）、伊藤忠出身でデサントの小関秀一社長（69、36位）がランクインした。グローバルSPAとして日本のトップ、世界でも3位につけるファーストリテイリングは柳井正会長兼社長（75、6位）を筆頭に4人がランクインした。ビューティ企業では、上位常連のノエビアーホールディングスの大倉昊（ひろし）会長（87、3位）、大倉俊社長（60、4位）に加え、資生堂から魚谷雅彦会長CEO（70、10位）と藤原憲太郎社長COO（57、23位）、コーセーの小林一俊社長（61、7位）が、素材メーカーでは東レの日覚昭廣会長（75、17位）と大矢光雄社長（68、27位）、縫製のグローバルカンパニーであるマツオカコーポレーションの松岡典之社長（67、21位）がランクインした。
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