ファッション
特集 多様化する登山市場2024 第1回 / 全6回

若年層の流入で山の楽しみ方に変化あり! 登山市場のいまを知るための4TOPICS

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「WWDJAPAN」2023年5月8日号で登山マーケットを特集したところ、思った以上に大きな反響があった。団塊世代を中心に日本で一大登山ブームが起こったのが1960〜70年代。以来、わが国には何度か登山ブームが訪れているが、近年の登山人口はコロナによる急減からの回復を除き、減少傾向が続いている。レジャー白書によれば現在の登山人口は概ね500万人(2022年)だ。ただし、コロナ期間を通して、登山人口の中身の入れ替えが起こったと指摘する声もある。高齢者に代わって20〜40代の新世代が増え、彼らが新しい楽しみ方や価値観を山に持ち込んでいる。スポーツではなくカルチャーとして幅広く浸透しつつある登山市場を取材した。(この記事は「WWDJAPAN」2024年7月15日号からの抜粋です)

登山市場を知るための4TOPICS

1. 山ごはん、映え写真、トレランetc.…
目的は1つじゃない

ヨーロッパ発祥のアルピニズムの影響を強く受けてきた日本では、登山=高い山の頂(いただき)を目指すもの、という考え方がこれまでは強かった。それが今、変化しつつある。SNS世代である20〜40代は、登頂だけでなく山で料理をすることや、映える自身や風景の写真を撮ること(そしてそれをSNSにアップすること)も楽しんでいる。下山後の温泉やグルメこそが登山の楽しみという人も少なくないし、近年盛り上がりを見せているトレイルランニングも新しい山の楽しみ方の1つだ。登山が体力に自信のある一部の人だけの趣味ではなくなり、各人がそれぞれの楽しみを追求するものに変わりつつある。きれいに整備された山小屋や登山地図アプリが、かつて3Kと言われた登山のハードルを下げた面も大きい。多様な人が流入するようになれば、そこにはファッション&ビューティ企業にとっての新たなチャンスもあるはずだ。

2. ウルトラライトハイキングが浸透

近年、若い世代を山に呼び込んでいるのが、“ウルトラライトハイキング(以下、UL)”と呼ばれる、米国で1980年代以降に興った新たな登山の方法論だ。日本の登山文化はヨーロッパのアルピニズムが下地にあるが、2010年代以降、東京・三鷹のショップ「ハイカーズデポ(HIKER'S DEPOT)」の土屋智哉オーナーらが先導する形で、米国発のULの考え方が日本にも徐々に浸透。ULは装備を軽くすることで体の負担を減らすと共に、自然をより濃密に楽しむといった考え方を指し、具体的には、食料・水・燃料など消耗品を除いたテント泊装備で4.5kg以下にするというもの。こうした軽さへのアプローチとともに、ULを志向するブランドによるミニマルなデザインのザックやテントなどが、これまでの登山ブランドのギアとは異なるスタイリッシュさで、若い世代に支持されている。

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