本ガイドブックでは、広告産業の事例の一つとして、パルコ(PARCO)が2023年10月に生成AIを活用して制作したホリデーキャンペーンを取り上げている。この広告では、モデル撮影を行わず、生成AIで制作した人物を使用している。また、「クリスマスオーナメントやプレゼントボックスなどのモチーフを画像生成AIで制作するとともに、ムービー、ナレーション、音楽も含め、CM内の全ての要素に生成AIが活用されている」という。
本ガイドブックは、ゲーム・アニメ・広告に焦点を当ててまとめているが、「生成AIを用いて背景、キャラクター、オブジェクトなどの2D画像や3Dモデルを作成する」「音楽生成AIを利用して、BGMを作成する」「画像生成AIを利用して、デザインやロゴを作成し、商品のデザインやロゴとして利用する」など、ファッションやビューティー産業でも想定し得る利用シーンとその法的な留意点も多く掲載している。
生成AIの普及は、業務の効率化だけでなくクリエイティブの幅を広げる観点からも貢献している一方で、クリエイターからもAI開発事業者からも、そしてAIを活用して新たな創作を行う利用者からも、それぞれの立場から生成AIの利活用に関する懸念の声が上がっているという。具体的には、「知的財産権などの権利・利益を侵害する可能性や、誤った情報を流通させる可能性など、様々な懸念点・留意点が指摘」されているという。実際、こうした課題を踏まえ、最近ではさまざまな省庁や公的な検討会などでAIに関する方針を整備しようとする動きが見られる。
こうした声を受けて、本ガイドブックでは具体的な事例や利用シーンを想定した留意点や対応策を紹介し、“「AIとうまく付き合い、共生する」ためのヒント”として制作されている。