有力百貨店の5月度売上高は、三越伊勢丹が前年同月比91.3%、高島屋が同98.1%、そごう・西武が同96.1%、大丸心斎橋店を縮小営業する大丸松坂屋百貨店が92.8%、阪急阪神百貨店が同98.3%だった。引き続き婦人服が低調だったことに加えて、下支えしてきた都心店のインバウンド(訪日外国人観光客)の失速が顕著になった。
三越伊勢丹は基幹3店の伊勢丹新宿本店が同92.6%、三越日本橋本店が同92.0%、三越銀座店が87.0%だった。基幹3店のインバウンドによる購買(免税)は、客数こそ1割増だったものの、客単価が3割減となり、売上高は同78%に落ち込んだ。高額品にその影響が顕著に出ており、基幹3店の宝飾・時計は5割減だった。大丸松坂屋百貨店は、インバウンドの来店が多かった大丸心斎橋店の建て替えに伴う縮小営業も影響し、免税売上高は3割減だった。高島屋は免税売上高が同105%と実績を上回ったが、客単価は2割減だった。「化粧品をはじめとした消耗品が伸びた。一方で(これまでけん引してきた)ラグジュアリー・ブランドは同95.5%に終わった」(同社)と高額品離れが進行している。
婦人服の低迷にも歯止めがかからない。そごう・西武は「食品や化粧品といった必要購買型の商品は堅調に推移したものの、衣料や住居は購入が見送られ、前年に届かなかった」(同社)という。阪急阪神百貨店は、基幹店の阪急うめだ本店が婦人服の苦戦によって同99.2%と久々に前年実績を下回った。三越伊勢丹は子供服が堅調に推移したものの、主力の婦人服は5月後半の気温が上がらなかったこともあって1割減だった。