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絶好調の花王「ケイト」、初旗艦店の狙い

花王の「ケイト(KATE)」が初の旗艦店を、東京・渋谷駅直結で25日に本格開業する渋谷サクラステージにオープンする。3階フロアの一角に位置し、売り場面積は126平方メートル。同社のブランドが展開する国内店舗の中でも上位の広さを誇る。デジタル融合型の体験を重視した店舗で、初年度は「情報発信地として売り上げを追う店舗ではないが、黒字化を目指す」(岩田有弘ブランドマネジャー)。

「ケイト」は、セルフメイク市場で20年連続売り上げNo.1(全インテージSRI+調べ)を堅持し、2021年以降の業績は「絶好調」と向かうところ敵なしの様相だ。23年の商況も前年比2ケタ増をマークし、右肩上がりで成長を続ける。

中心顧客は10〜20代の女性客で、新商品は常に話題を集めている。直近では4色のアイシャドウパレット“ポッピングシルエットシャドウ”がヒットし、アイメイクカテゴリーは前年比2ケタ増と好調に推移する。「一過性のヒットでは終わらせない、常にお客さまに驚いてもらえるような仕掛けづくりに力を注いでいる。その成果だ」と胸を張る。

グローバル化を加速

“絶好調”が続く「ケイト」を花王は戦略投資ブランドの一つとして位置づけ、グローバル化を推し進めている。その一環として、ブランド誕生27年目にして初の単独店舗の出店に至った。東京発のメイクブランドとしての存在感をアピールし、アジア圏の若年層(10〜20代)のファン拡大を狙う。

まずは同店に国内外のKOLを招き、SNSなどを通じて世界に発信する計画だ。「ここ最近は、香港や台湾でも手応えを感じている。今後はASEAN市場をもっと加速し、プロモーションの強化を図る」。

今後、直営店の出店は未定としているが、「この店舗がうまく拠点として回れば、日本にとどまらず出店はあり得る。例えば、マレーシアやタイに(出店の)重要性があると判断できれば、挑戦したい」と意欲を示す。

旗艦店はデジタル体験で“感性”を刺激

「KATE TOKYO 渋谷サクラステージ店」は、EC限定品を含めた全商品をラインアップする。店内は、アイブロウ、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、リップ、ベースメイクにグルーピングした棚が並ぶ。ウェブ限定色を含む108色のアイカラーや人気の“リップモンスター”全色などを取りそろえている。店頭には、5人(女4、男1)のスタッフに加え、韓国・中国・英語の通訳ができる2人のスタッフの計7人が常駐する。制服は、黒を基調とした私服コーディネートで、それぞれの個性を生かしたスタイルで店頭に立つ。

エントランス右側には、AR技術を駆使したモニターが出迎える。モニターに映り込んだ自分自身の服の色が“粒子”として抽出され、ブランドカラーの“赤”に混じり合っていく様子を楽しむことができる。その裏には、イラストレーターのNAKAKI PANTZ(ナカキパンツ)によるデザインを、自分好みに組み合わせて文字入れができるシール作成サービス“オリジナルチケット”を用意。公式のLINE友だち登録で無料で提供する。

入り口の左サイドには、AI技術でパーソナライズした4色のアイシャドウが自動販売機のように出てくる「KATE iCON BOX」を設置。21年に登場した世界に1台しかない同什器は、さまざまな店頭やイベントで運用してきたが、今回から同店常設となる。各棚にはEC連動のバーチャルメイク機能を搭載したタブレットを配置するほか、コーナーには撮影して自身のアバターを作成できるデジタルサイネージなどを設置した。

「コロナ禍でデジタル化が進んだが、一方でリアルの重要性も感じていた。その両方を融合した、情報発信地としてアプローチしていく」と、アジア圏を代表するブランドへと歩を進める。

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