ビジネス
特集 “個性”が広げる百貨店の可能性 第9回

高島屋・村田社長「日本とASEANは一つの商圏」

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PROFILE: 村田善郎/社長

村田善郎/社長
PROFILE: (むらた・よしお)1961年10月26日、東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、85年に高島屋入社。2011年柏店長、13年執行役員、15年常務取締役、17年代表取締役常務を経て、19年から現職。20年5月から24年5月まで日本百貨店協会会長を務めた PHOTO : TAMEKI OSHIRO

高島屋は2024年度(25年2月期)の連結営業利益の予想を550億円に上方修正した(期初予想は500億円)。訪日客の追い風は他社と同じだが、同社の場合、日系百貨店の最大の成功事例と呼ばれるシンガポールタカシマヤの存在が大きい。「日本とASEANの商圏は一つになる」と話す村田善郎社長は、壮大な成長ビジョンを描く。(この記事は「WWDJAPAN」2024年7月22日号からの抜粋です)

東南アジアでの知名度が武器に、
国境を行き来する顧客の期待に応える

WWD:24年度の免税売上高の見通しを期初発表から400億円上振れの1250億円に修正した。

村田善郎社長(以下、村田):コロナ前の19年度の497億円と比べて2倍以上になる。想定を超えたのは中国本土だけでなく、東南アジアのお客さまが大幅に増えたからだ。高島屋が出店するシンガポール、タイ、ベトナムおよびその周辺国からの来店が多い。もともと訪日客比率が高かった大阪店、京都店、新宿店だけでなく、最近は日本橋店にも海外の富裕層が訪れるようになった。

WWD:高島屋の東南アジアにおける知名度が強みになっていると?

村田:当社は東南アジアにすでに顧客基盤がある。周辺国を含めた富裕層を獲得できていることが大きい。最近はシンガポール店の上顧客を日本橋店でアテンドすることも珍しくない。ある国の政府高官のご家族が来店する際は、ベテラン外商員がご案内する。海外VIPのお客さまは国境をまたぐ移動が当たり前だ。医療レベルが高いシンガポールで人間ドックを受けたインドネシア在住のお客さまが高島屋のシンガポール店を訪れ、冬の日本旅行に備えてダウンジャケットを購入する。南国のシンガポール店で、なぜか高級ダウンがよく売れる。聞けば「ニセコにスキーに行く」とおっしゃる。

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