ビジネス
特集 “個性”が広げる百貨店の可能性 第6回

「呉服」の既成概念にハサミを入れ、 和の魅力とからめて伝える

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PROFILE: 深尾明弘/MD本部新規事業推進担当次長

深尾明弘/MD本部新規事業推進担当次長
PROFILE: (ふかお・あきひろ)広告会社勤務後、高島屋に入社し法人営業を約15年経験、社内の新規事業案件制度「フューチャープランニング」を経て昨年、“和にまつわるコト・モノ ビジネス”を立ち上げる PHOTO:TAMEKI OSHIRO
高島屋
TAKASHIMAYA

呉服の魅力に「コト」を掛け合わせる

高島屋には社内公募による新規事業制度「フューチャープランニング」がある。同制度を経て事業を提案し、「呉服」の新しい売り方にトライするのが深尾明弘MD本部新規事業推進担当次長だ。高島屋の祖業でもある呉服の魅力を、コトを掛け合わせた発想で今に伝える。(この記事は「WWDJAPAN」2024年7月22日号からの抜粋です)

きらびやかな着物をまとい、フレンチコースと和菓子を楽しむ女性たち。そのテーブルの間を、着物を着こなした女性たちが歩いていく─。
 高島屋は昨年9月の十五夜、横浜の迎賓館で「着物お月見会」を初めて実施した。イベントは50人が参加し、満員御礼。着物のファッションショーのほか特設ブースでの撮影会、着物インフルエンサーの天野さとみさんによる着こなし講座、野外に移動してのお月見などを盛り込んで、着物好きを楽しませた。イベントを企画した深尾次長は、「まずは着物を着ていく場と、コミュニティーを作りたい」と話す。

 百貨店の呉服を取り巻く状況は厳しい。バブル期に2兆円産業といわれた市場は10分の1程度の2240億円(2023年、矢野経済研究所調べ)まで縮小。高島屋の呉服の売上高も最盛期の約200億円から4分の1以下になった。一部の富裕層には根強いファンがいるものの、一般人にとっては、なかなか縁がない。

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