ファッション
連載 エディターズレター:FROM OUR INDUSTRY 第132回

自由なクリエイションを伝える、フォーマット化したポートフォリオという存在

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仕事柄、学生によるファッションコンテストに時々参加させていただきます。ランウエイ形式をメーンとする最終審査は、大体秋から冬にかけて。今は、最終審査に臨む人を選ぶ事前審査真っ盛りというタイミングです。

事前審査の多くは、ポートフォリオ審査です。学生が作るポートフォリオを見て、「形になったら面白そうだな〜」というアイデアを選ぶものです。私が参加するコンテストに限った話かもしれませんが、このポートフォリオ審査には圧倒的な強豪校があります。大阪文化服装学院です。先日行われた、各自が10人ずつを選ぶポートフォリオ審査では、私は大阪文化服装学院の生徒を過半数以上選んでしまいました。

とにかく、審査する側の気持ちに立った構成がうまいのです。学校できちんとフォーマットを練り上げ、学生に会得させているのでしょう。大阪文化の学生のポートフォリオは、大体似たような構成です。まずは、自己紹介。特に過去のコンテストにおける受賞歴や、産学連携における過去の実績などをキチンと紹介することで、業界のプロである審査員の注目を集めます。コンセプトにおいては、まずは大テーマを掲げつつ、多くが相反するサブテーマも設定し、相反する世界観やムード・テイスト、スタイル、素材の掛け合わせをデッサンなどで表現します。クリエイションにおいては、必ずしも相反するものを組み合わせる必要はないかもしれません。しかし矛盾したものの組み合わせは大抵審査員の想像力を刺激し、「想像できないな、見てみたい!」や「楽しそう、見てみたい!」という感情を喚起させます。この時点で、「なんか凄そうな子が、面白い着眼点を持って、想像できないモノを作ってくれるかもしれない」という期待感は十分。こうしてポートフォリオ審査を通過していく、というワケです。

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