ベイクルーズのEC事業が好調だ。2013年8月期からEC事業の売上高は前期比131%〜146%で推移し、16年8月期は同131%の215億円に達する見込みだ。全社の売上高に占めるEC事業の割合も今期で2割を超える見通し。今年10月に自社ECサイト「スタイルクルーズ」をリニューアル、12月にアプリをリリースする計画で、今後はスマートフォンを起点にしたオムニチャネル戦略を加速する。
急成長のきっかけは、4年前に行った組織の再編だ。EC事業を率いる村田昭彦ベイクルーズ上席取締役ICT統括/EC統括は、「各ブランドに散らばっていたEC担当者と業務を一つの事業部に集約・統合し、IT技術者を増員した。細かな検証と改善の繰り返しが重要なEC事業ではスピーディな意思決定と実行が欠かせない。EC業務を一元化したことで、すぐに課題を集約できるようになり、ECシステムの上流の設計から開発までを内製化したことで、PDCA(計画・実行・評価・改善)をスピーディに回せるようになった」という。
次のステップとしてスマホを起点としたオムニチャネル戦略の充実のため、その柱として4つの統合を掲げる。「これまでリアル店舗とウェブで分断していた会員情報、在庫管理、サービス、コミュニケーションの4つの分野で統合を行っている」。在庫を管理する倉庫を1カ所に統合したことで、サイトのリニューアル後はECを経由した店舗での取り置きサービスや店舗在庫のEC販売などをスタート。また顧客情報を一元化することで、これまでブランドや、リアル店舗とECでバラバラだったポイントサービスなども統合する。「これまでは同じ内容のメールマガジンが店舗やECからそれぞれ届いてしまうこともあったが、今後は顧客の購買データに基づいた最適な情報やサービスを提供できる。顧客の行動の起点になるスマートフォンを通じて、同一のサービスや情報を提供することで、より最適な購買に繋げたい」。