ホリデーシーズンのeコマース商戦がスタートした。サイバーマンデー(CYBER MONDAY)と呼ばれる11月30日、アドビ・デジタル・インデックスは同日正午に、eコマースの売上高が30億ドル(約3660億円)に達する見込みだと発表した。これは昨年の26億8000万ドル(約3296億6000万円)と比べると111.9%だ。
サイバーマンデーの売上高は毎年増加しているものの、伸び率は減少傾向にあるのが目立つ。2013年のサイバーマンデーの売上高は22億9000万ドル(約2793億8000万円)で、14年の売上高の前年比は117%で、今年は約5ポイント伸び率が低下している。
この減少傾向の一因にあるのは、消費者の認識がサイバーマンデーからサイバー"ウィーク"に変わりつつあるということだ。ギルト(GILT)では29日(日曜日)の夜9時にサイバーマンデーのセールを開始したという。
伝統的にクリスマス商戦の開始日だったブラックフライデー(11月の第4木曜日の感謝祭の翌日の金曜日)も、現在の小売業界では実質的に11月最初の3週間を意味するようになっている。
とはいえ、サイバーマンデー開始後のトラフィックは凄まじく、リテーラー大手の中には、一時的にではあるが、システムダウンによって商戦からの離脱を余儀なくされたものもいた。大手とはいえサイバーマンデー対策が後手に回っていることが露見したというわけだ。
ターゲット(TARGET)のサイトは30日、一時的にアクセス不能に陥った。「H&M」の公式サイトでも買い物客を待たせる事態が起きた。また、ペイパル(PAYPAL)のサイトがクラッシュしたという報告もあった。ニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)のサイトでも週末にかけて、同様の機能停止が起きたという。
それでも、ターゲットのサイトによるサイバーマンデーの売り上げは、ブラックフライデーの売り上げの2倍で、過去最高のeコマース売上高を記録したという。
なお、中国のアリババは今年、同国で"独身の日"と呼ばれる11月11日に143億ドル(約1兆7446億円)を売り上げた。その巨額の売上高と比較すると、いくらサイバーマンデーと騒いでみても、色褪せる感はぬぐえない。フォレスター・リサーチ社のアナリストは、「1年を通して見れば、われわれはもっと売り上げている。"独身の日"は、昔のブラックフライデーのようなものだ。当時のブラックフライデーは今ほど大きな値下げはしなかったが、それでもホリデー商戦の"決戦日"として認識されていた。確かにサイバーマンデーはアメリカの消費者にとって重要な日だが、現代の消費者は、他の日にも同じような"お買い得品"を発見することができる」とコメントした。