エイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)の2014年3月期連結決算は、本業の儲けを示す営業利益が前期比162.3%の173億円で最高益を達成した。売上高は同109.8%の5768億円。二ケタ近い増収によって売上高営業利益率が0.97ポイント押し上げられた。増収は中核会社である阪急阪神百貨店がけん引。旗艦店の阪急うめだ本店を中心に13店舗中7店舗が前年実績を上回った。店舗別売上高は12年11月に建て替えオープンした阪急うめだ本店(阪急メンズ大阪を含む)が同132.8%の1922億円、博多阪急が同108.0%の404億円、阪急メンズ東京が同110.3%の126億円だった。阪神梅田本店の建物やのれんの減損損失など特別損失114億円を計上したため、純利益は同4.8%の2億9500万円と大幅減益になった。
今期予想は、売上高が前期比140.4%の8100億円、営業利益が同115.5%の200億円。6月に大手スーパーのイズミヤとの経営統合を控えるため、大幅な増収になる。阪急阪神百貨店では消費税増税による駆け込み消費の反動や阪神梅田本店の建て替え準備を踏まえ、同95.1%の4060億円を予想する。
9日に会見した阪急阪神百貨店の荒木直也・社長は、阪急うめだ本店について「当初目標に掲げていた売上高2100億円を、17年3月期をメドに実現したい」と話し、そのカギを握る分野として若い女性向けの衣料品を挙げた。建て替えオープン時に開設したテーマフロア「うめはんシスターズ」「うめはんジェンヌ」のテコ入れを進めており、すでに3分の1のブランドを入れ替えた。その結果、新規のカード会員の伸び率で20代が最も高い値を示すようになった。「百貨店予備軍の20代の新しいお客さまの囲い込みに手応えを感じている。"西日本一のファッションストア"の実現のためには、レディスファッションの再構築は避けて通れない」と述べた。従来からの強みであるラグジュアリーブランドだけでなく、若い女性の獲得に向けた施策を重点的に進める方針だ。