ファッション

「ジュエリーは私にとって母国語」 シャルロット・シェネに聞く和光とのコラボとクリエイション

PROFILE: シャルロット・シェネ / 「シャルロット シェネ」デザイナー

シャルロット・シェネ / 「シャルロット シェネ」デザイナー
PROFILE: フランス・パリのスタジオ・ベルソーを卒業後、ニコラ・ジェスキエールが率いる「バレンシアガ」でアシスタントデザイナーを9年間務め、ジュエリーコレクションの立ち上げにも参画。15年に自身のブランド「シャルロット シェネ」を設立。同年にフランス国立モード芸術開発協会主催の「ANDAMファッション・アワード」のアクセサリー部門でグランプリを受賞。「サカイ」「ラバンヌ」「ロロ・ピアーナ」などとのコラボを経て和光のコラボが実現。現在パリに直営店が3店舗、世界で80~100店舗で販売 PHOTO:SHUHEI SHINE

フランス発ジュエリー「シャルロット シェネ(CHARLOTTE CHESNAIS)」のデザイナーであるシャルロット・シェネが来日した。先月には、パリ・ギャラリーラファイエット店内に直営店3店舗目をオープンしたばかりだ。シェネは、東京・銀座のランドマークである和光の本館地階の改装オープンに合わせ、コラボレーションジュエリーとインスタレーションを用意。来日した彼女に和光とのコラボの経緯や感想、クリエイションについて聞いた。

和光は他にはない詩的で特別な場所

WWD:和光とのコラボレーションはいつ、どのように始まった?

シャルロット・シェネ「シャルロット・シェネ」デザイナー(以下、シェネ):プロジェクトが始まったのは2年前くらい前。改装前に和光を訪れて、プロジェクトチームとインスタレーションと改装記念の特別なコラボ作品について話し合った。

WWD:コラボのコンセプトは?

シェネ:特別コラボ作品は、滋賀県の神保パールを使用した。パールの品質が素晴らしく、何て美しい素材だろうと感動した。和光の顧客は感度の高い人が多いので、特別なものにしたかった。これらは、とても日本的であると同時にフランス的。この素材を選んだのはフランス人の私だけど、素材は日本産だから。パールのコレクションは約1年半前にパリで12本のネックレスを製作。そのストーリーを神保パールや和光と共に継続する良いきっかけになった。

WWD:和光についての印象や魅力は?

シェネ:和光が持つ歴史に感動した。御影石の素晴らしい階段があって、どこにでもあるようなビルではない。70年以上の歴史のある素晴らしい館とコラボできてとても光栄だ。改装された地下を見れば、その特別感や素晴らしさを体感できるはず。私は、世界中の素晴らしい百貨店や店舗を訪れるけど、このような詩的で特別な場所は他にはない。

WWD :ジュエリー以外にも、ウインドーの彫刻作品も手掛けたのは?

シェネ:2019年前に「イエール国際フェスティバル」に招聘されたときに、ジュエリーではなく彫刻を発表した。ジュエリーはコマーシャルな要素があるもの。もっと芸術的な意味の強い彫刻を手掛けようと思った。何年も彫刻を手掛けてきている。和光のウインドーの彫刻を手掛けられることができてうれしい。

ジュエリーは私の母国語のようなもの

WWD:;ジュエリーデザイナーになったきっかけは?

シェネ:「バレンシアガ(BALENCIAGA)」でファッションのデザイナーとして仕事をしていた。クリエイティブ・ディレクターだったニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)にジュエリーを手掛けてほしいと言われた。当時、誰もジュエリーにフォーカスしてなかったから、偶然の出来事だった。だけど、それが、私にとって、突然のひらめきだった。クリエイションにおいて、ジュエリーを発見した。ジュエリーを手掛けるのは、母国語を話すのと同じような感覚だ。元々、椅子やスプーン、ティーポットなど、オブジェクトデザインが好きだった。それで、正にファッションとデザインの間のジュエリーが、ぴったりはまったというわけ。

WWD:ブランドのコンセプトや一番の強みは?

シェネ:私がジュエリーデザイナーになった当時は、そうなることがトレンドだった。たくさんジュエリーデザイナーがいたから、他のブランドとは違うものにしたかった。私は、スケッチはあまり得意ではなく、成形という方法で全て原型を作る。私にとっては、成形の方が自然で簡単。ある日、ブレスレットを作ろうと思って、iPhoneのチャージャーを自分の腕に巻き付けて、いろいろ試して形作ってからアトリエへ送ったことがある。ブランドは、私の個人的なプロジェクトのようなもの。全てのアイテムをデザインするし、私自身の反映だと思う。クラシックだけど、新しい。どこか不安的な要素がある。見続けていると、それがクラシックに見える、そんなデザイン。カーブが特徴で存在感があるけど軽さがある。ある意味、相反する要素があると思う。

カメラのレンズのように物事を捉えて作品に

WWD:デザインのインスピレーション源は?

シェネ:あらゆる物事。たくさんの敬愛するアーティストがいるし、日本も私にとっては、大きなインスピレーション源。私の目はカメラのレンズのように全ての物事を記録して、それを、個人的なフィルターを通して作品へ投影する。だから、コレクションにテーマはなく、私が感じたことを表現している。

WWD:ベストセラーとその理由は?

シェネ:誰もが着けられる“アイビー”ブレスレットや“トリプレット”イヤリング・“ミラージュ”はどこか、マジックのよう。製作している時は、何がベストセラーになるか分からない。「シャルロット シェネ」らしく、クリーンで想像を超えるようなデザインが人気だと思う。

WWD:今後、どのようにブランドを成長させたいか?

シェネ:ビジネスを拡大させたいけど、それぞれの取引先との関係性を大切にしていきたい。家族経営で、夫と3人の子どもがいるから、オーガニックに成長させていきたい。今後は、もっと、ファインジュエリーを作っていきたいし、彫刻のプロジェクトも増やしていきたい。

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