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注目企業yutoriを「有報」から読み解く 大株主激変&最大の仕入先はあの会社

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2018年4月に創業し、2023年12月に東京証券取引所グロース市場にアパレル企業として最短上場したyutoriは、いま最も注目を集めるアパレルのスタートアップ企業だ。注目企業のyutoriを6月28日発行の有価証券報告書から読み解く。

急成長を裏付ける業績推移

18年4月創業のyutoriは24年3月期でも、まだ6期目。有報には2期以降の業績推移が掲載されており、売上高の推移は1億4079万円(2期、20年3月期)→5億6833万円(21年3月期)→16億3190万円(22年3月期)→24億7026万円(23年3月期)→43億2000万円(24年3月期)。怒涛のスピードで急成長を遂げており、文字通り「スタートアップ」企業だ。

経常損益は5841万円の赤字(20年3月期)→212万円の黒字(21年3月期)→2億2478万円の黒字(22年3月期)→5439万円の赤字(23年3月期)→3億7868万円の黒字(24年3月期)。23年3月期の赤字は、買収したブランド「フラグスタフ(F-LAGSTUF-F)」の減損損失などによるもの。2024年3月期の粗利率は5.3ポイント改善し59.9%、販管費率は5.5ポイント改善し、51.0%に。見た目の派手さや成長スピードからすると意外にも見えるが、採算管理はしっかりとしており、アクセルとブレーキをうまく使い分けていることをうかがわせる。

BS面では自己資本比率は17.2%から34.3%になり、黒字化に伴う借入金の返済で財務体質も改善した。今期(25年3月期)の見通しは、前期の勢いをそのままに、売上高が56億1500万円(前期比30.0%増)、営業利益が5億円(同30.4%増)、経常利益が4億9200万円(同30.0%増)、純利益が2億7400万円(同21.8%増)の見通しだ。

超多ブランド戦略、すでにM&Aも実施

yutoriは片石貴展(たかのり)社長が18年4月に創業。20年8月にZOZOが51%の株式を取得し、子会社化。23年12月には東証グロース市場に上場した。なお現在ZOZOは持ち分を減らしている(後述)。小規模なM&Aを行っており、22年4月にKANDORから「フラグスタフ」を取得、同年8月には「ヤンガーソング(Younger Song)」などを運営するA.Z.Rの株式を100%取得し、完全子会社化している。

yutoriは4月時点で29ブランドを展開するなど多ブランド戦略を掲げており、今後もM&Aも含め年間10ブランド、5年後には70ブランドにまで増やす方針だ。そんな同社は、展開ブランドを【1.ティーンカルチャー:過去のトレンドアイテムをリバイバルし、現代カルチャーのエッセンスを取り入れるブランド】【2.トレンド:「ゾゾタウン」での販売をメーンに、流行をいち早く取り入れた手に取りやすいアイテムを展開】【3.デザイナーズ:著名なデザイナーやスタイリストのもと、コアなファンを獲得するブランド】【4.インフルエンサー:インフルエンサーがディレクターを務め、個人の発信力もあわせてブランドを運営】と4つに分類している。主力ブランドを例に取ると、「ナインティナイン(9090、インスタのフォロワー数30.9万人)」がティーンカルチャー、「パム(PAMM、同13.9万人)」がデザイナーズ、「ブロークンベース(Broken Base、同9.1万人)」がトレンド、「エイチティーエイチ(HTH、12.2万人)」がインフルエンサーになる。

もともとは「古着女子」というインスタグラムをうまく活用したSNS発のコミュニティ運営からスタートした同社だが、販路は意外とリアル店舗も大きい。販路別の構成比は自社ECが39.5%と最大で、次いで「ゾゾタウン」が32.3%、リアル店舗が25.9%、卸売が2.1%となっている。

平均給与&役員報酬、そして激変の大株主

契約社員やバイトを除く従業員数は70人で、平均年齢は25.7歳、平均年間給与は469万円。平均勤続年数は1年11カ月で短く見えるものの、事業の急拡大に伴う人員増によるものだ。片石社長は「終身雇用を目指す」とも語っており、離職率は公表していないものの、かなり低いと見られる。

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