オンワードホールディングスは、支店ごとに行ってきた在庫管理を本部での一元化に移行する。「ジョゼフ」「トッカ」では3年前から一元化に着手し、本部から各支店に効率的に分配してきた。その実績を踏まえ、今下半期(2015年9月〜16年2月)からは基幹ブランド「23区」と「五大陸」の2ブランドとSR事業部門(ショッピングセンターなどの新流通対応ビジネス)でも同様の態勢に移行させた。今後は全ブランドに取り組みを広げるとともに、最終的にはリアル店舗とEC店舗の在庫も一元化させ、同社が掲げるオムニチャネル化を促進する。なお当上半期のeコマースの売上高は前年比114.6%の37億円だった。
保元道宣オンワードホールディングス社長は5日の決算会見で「グループ内でも好調事業と不調事業の二極化が進んでいる。成長部門や堅調部門をより一層伸ばし、情報システムを強化、ラオックスとのオンワード・ジェイ・ブリッジ事業などの新事業の強化で業績を回復したい」とコメント。情報システムでは、eコマースで得た100万人のビッグデータをオムニチャネル化に生かしたい考え。来年4月には今後の成長を盛り込んだ中期3カ年計画を発表する予定だ。
下半期については、売上高1419億500万円(前年同期比95.0%)、営業利益43億7500万円(同138.7%)、経常利益44億5300万円(同107.0%)を予想。下半期も5%の減収を予想しているが、「プロパー消化率を2ポイント上昇させて」(馬場オンワード樫山社長)増益を目指している。これを踏まえた上で、通期には売上高2674億円(前期比95.0%)、営業利益46億円(同80.3%)、経常利益58億円(同81.0%)を予想する。
なお上半期の連結決算は、売上高が前年同期比95.0%の1254億9500万円、営業利益が同8.7%の2億2500万円、経常利益が同44.9%の13億4700万円だった。ただし、持ち合い株の売却益により純利益は同112.8%の19億2000万円だった。
特にオンワード樫山の国内アパレル事業は、前年の消費税増税に対する駆け込み需要の反動もあり、3月については前年同月比82%で28億円減収という厳しさで、これが負担になり4月99%、5月95%、6月91%、7月97%、8月96%と全月前年割れだった。馬場社長は、「駆け込み需要の反動に対する対策が甘かった。今後の国内事業では基幹事業の強化、不採算事業の廃止を行うなど、『選択と集中』で増益を目指す」とコメント。海外事業では、ラグジュアリー部門が先行投資によって苦戦したが、「ジョゼフ」では業績が回復しつつある。下半期には、オンワード樫山で売り場を21店舗新規出店、リニューアルを73店舗、廃止を77店舗(うちブランド廃止2店舗)とする予定だ。