主要百貨店4社の2024年7月度業績は、おしなべて1割程度の増収だった。富裕層やインバウンドによる高額品購買が下支えし、猛暑の中で夏向けの衣料品や雑貨もよく売れた。
各百貨店の売上高は、三越伊勢丹が前年同月比11.3%増、高島屋が同7.4%増、大丸松坂屋百貨店が同10.0%増、阪急阪神百貨店が同15.0%増。
阪急阪神百貨店の阪急本店は前年同月比21%増。婦人服のセール開始は、例年より遅らせて7月19日からとし、盛夏アイテムの品ぞろえとスタイリングの打ち出しを強化した。「(月を通じて)定価商品の売上高が前年同月の2割以上増え、カテゴリー全体をけん引した」(同社)。カットソーやサンダル、サングラスなどが好調だった。
三越伊勢丹の旗艦店の伊勢丹新宿本店は、前年同月比13.3%増。サングラス、カットソー、ブラウスなど猛暑に対応する実需アイテムが好調に推移した。婦人服が前年同月比16.6%増、紳士服が同17.6%増だった。
大丸松坂屋も「サマーニットやカットソーなどの夏物衣料品が活発に動いた」(同社)。大丸心斎橋店が18.3%増と高伸長だった。高島屋も大阪店が同13.7%増、新宿店が12.3%増と、都心店舗を中心に大きく伸びた。
各社ともクリアランスのスタートを後ろ倒ししたり、期間を短縮したりする方向に動いた。暑さが長引く中、夏物の定価販売の期間を確保する算段だ。高島屋は6月28日〜7月9日、そごう・西武は6月28日〜7月8日の期間で実施した。松屋銀座本店は、これまで6月下旬から開催していたが、7月19日スタートに後ろ倒しした。
百貨店の夏の風物詩だったクリアランスセールも存在感が薄れている。8月1日、西武渋谷店を利用した50代の女性に話を聞くと、「昔はセールを楽しみにしていたが、今年の夏は何も買っていない。気付いたら、いつの間にか終わっていた」とこぼした。