ビタミンや栄養素を配合したグミ状サプリメントの市場が成長している。アメリカに拠点を置くマーケティング企業大手ニールセンIQ(NIELSENIQ)によると、グミ状サプリの年間売上高は18億ドル(約2610億円)近くに達した。年齢にかかわらず人気だが、砂糖の大量摂取につながるリスクは否めない。砂糖代替品を採用するブランドや、「グミ反対」を提唱するブランドもある。
おいしいビタミングミを作るためには砂糖やその代替品が欠かせないが、中には一般的なキャンディーよりも多くの砂糖を含む商品もある。ビタミングミは通常、1食分(一般的には2個)あたり1〜8gの砂糖を含む。比較対象として、独グミメーカー、ハリボー(HARIBO)の“ゴールドベア”2個は2g強の砂糖を含む。アメリカ心臓協会は1日の砂糖摂取量を、女性は25gまで、男性は36gまでに抑えることを推奨している。1握りのビタミングミで、1日の推奨摂取量を容易に超えてしまうことには注意が必要だ。とはいえ砂糖代替品の登場により、カロリーが低く、血糖値を急上昇させない無糖のビタミングミの開発も盛んになっている。
ビタミングミは、サプリのエントリー商品として重宝される傾向にある。コートニー・カーダシアン(Kourtney Kardashian)が手掛けるサプリブランド「レム(LEMME)」のパートナーであるサイモン・ハック(Simon Huck)は、「グミから始めてカプセルに移行する人も多い」と話す。「『レム』は多様な選択肢を用意しており、ビタミングミは甘いおやつの代替品として使用し、カプセルと併用することで砂糖の摂取量を調整できる」と続ける。
同社は、この分野のほかの企業とともに砂糖の代替品、特にイチジクなどの果物から抽出されるアルロースの開発に取り組んでいる。米国食品医薬品局(FDA)の許可を受けているアルロースは効果的な代替品として用いられているが、専門家は、消化器系に負担をかける可能性のある糖アルコールのようなほかの代替品を警戒している。また、米スーパーのホールフーズマーケット(WHOLE FOODS MARKET)を含む一部の小売業者はアルロースを禁止している。市場に出回ってまだ日が浅く、長期的な影響を予測するのが難しいからだ。ほかのブランドは、ステビアやモンクフルーツなどの代替品を試している。
砂糖の代替品に触手を伸ばすブランドが増えている一方で、女性のウェルネスに特化した「ラブウェルネス(LOVE WELLNESS)」のようにグミを販売しないというスタンスを取っているブランドもある。早くからシュガーフリー処方を提唱してきたロー・ボスワース(Lo Bosworth)創業者は、「商品に何を入れないかは、何を入れるかと同じくらい重要」と話す。「多くのビタミングミは、5〜8人前の砂糖を含んでいることがある。1日に3種類のビタミンを、ビタミングミからのみ摂取する人がいたら、あっという間に大量の砂糖を摂取してしまう」と続ける。グミは通常、保存の効く単一成分または低成分の配合が適しているほか、製造に加熱が必要なため、成分の投与量や生物学的利用能に影響を与えることも多い。
一部のブランドは、グミがウェルネスに適しているかどうかを疑問視しているが、消費者のグミへのニーズや砂糖代替品の市場投入、子ども向けサプリの成長を考慮すると、専門家は同カテゴリーが減速するとは見ていない。米投資銀行レイモンド・ジェームズ(RAYMOND JAMES)のマーク・レイシー(Mark Lacy)投資銀行ディレクターは、「1食あたりの糖分を5g以下に抑えられるのならば、あまり危険視する必要はないだろう」と述べる。