一着に数千時間を要するものもあるオートクチュールは、長い歴史の中で受け継がれ磨かれてきた職人技や美意識、すなわち、それぞれのメゾンの“サヴォアフェール”を象徴するものだ。デザイナーたちは毎シーズン、そこにさまざまな要素を掛け合わせることで、究極のエレガンスを新たな視点で表現している。(この記事は「WWDJAPAN」2024年8月5&12日合併号からの抜粋です)
「スキャパレリ(SCHIAPARELLI)」
“飛び道具”を封印して挑む
ドラマチックなエレガンス
いつもとは趣向を変え、シャンデリアが飾られた薄暗いサロンの中で親密なショーを開催。これまでのSNSでバズを起こす“飛び道具”のようなデザインも封印し、タイムレスなエレガンスを探求した。そのため、ダニエル・ローズベリー(Daniel Roseberry)はクチュールの原点に立ち戻るかのように、デッサンから始め、布を巧みに操り、装飾を施していくアプローチに専念。テーマの「不死鳥」を想起させる装飾や肩のライン、コルセットで強調した曲線美、ボリュームのあるチュールスカートで生み出す美しくドラマチックなシルエットで、新境地を見せた。
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