2009年から続く「WWDBEAUTY」のベストコスメ特集では、バイヤーのアンケートをもとに本当に売れた商品を表彰する。連載「ベスコス歴代名鑑」では、15年以上続く本特集の中でも常にランキングに入賞する“傑作”をピックアップ。時代を超えて愛される理由や商品の魅力について、美容ジャーナリストの加藤智一が深掘りする。今回は「SK-Ⅱ」の“フェイシャル トリートメント エッセンス”にフォーカス。
“未知に溢れた成分”ピテラ
ほとんどのロングセラーコスメは時代の変化や化粧品の技術進化にあわせてリニューアルを図る。だが、中には化粧品の成分分析技術が向上していくのと平行して、新たな肌効果が見つかっていくという“未知に溢れた成分”がある。「SK-Ⅱ」を象徴する成分であるピテラも、まぎれもなくそんな稀有な成分の一つだ。
ピテラの研究がはじまったのは1970年代のこと。お酒をつくる杜氏の手肌は年齢を重ねていてもみずみずしく滑らかだったことから、美肌の秘密に発酵や酵母が関係していると考えたことがきっかけだった。そこで開発チームは、当時判明していた350種ほどの酵母を研究したところ、酵母“ガラクトミセス”の中から、肌に有用なたった一つの独自の株を発見。そして、その株をある特定の環境で発酵させたことで、発酵代謝物であるピテラが誕生。このピテラを90%以上詰め込んだ、唯一無二の化粧水“フェイシャル トリートメント エッセンス”の完成に至った。
ピテラの特筆すべき魅力は“酵母と発酵”という自然のプロセスで生み出されていることにある。肌に存在するNMF(天然保湿因子)に類似していることから角層すみずみまで素早く浸透。アミノ酸やミネラル類、有機酸など50種類以上の構成成分が含まれていることから、一般的な化粧品のように、ビタミン、ミネラルなど単体の保湿成分をカクテル配合しなくても、多様性に富んでいるピテラがさまざまな肌効果を発揮する。しかも、誕生から40年以上経った今もなおピテラの研究を熱心に続けており、毎年新たな効果が発見され続けているのだ。
ピテラに戻る「おかえりピテラ現象」
最近は親子3世代で使っている顧客も増えている。そんな世代を超えて愛され続ける名品は記録にも表れる。“フェイシャル トリートメント エッセンス”は12~23年において、歴代のベストコスメアワードを154冠獲得し、さらにその記録を伸ばし続けている。“未知に溢れた成分”であるからこそ、そのまだ見ぬ肌効果は時代とともにさらに明らかになるだろう。