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ヘアサロン「レコ」内田聡一郎×AMANE  美容室がやるヤバいイベント“SCRAMBLE”の狙い

PROFILE: AMANE/「レコ」店長(左)、内田聡一郎/「レコ」CEO兼トップディレクター

PROFILE: 左:(あまね)1998年生まれ。茨城県出身。国際文化理容美容専門学校渋谷校卒業。2019年4月「レコ」入社。「レコ」初の新卒メンバーの1人で現在は「レコ」の店長を務める。趣味はDJ。プライベートは専らクラブ通い。幼少期をフィンランドで過ごし、フィンランド語と英語を話す。 右:(うちだ・そういちろう)1979年8月30日生まれ。神奈川県出身。2018年2月に独立し、3月1日に自身のサロン「レコ」をオープン。サロンワークをはじめ一般誌や業界誌の撮影、セミナー、数々のミュージシャンやアイドルのヘアメイクを手掛けるなど、幅広く活躍。プライベートではDJ活動も行っている。

人気ヘアサロン「レコ(LECO)」の7周年イベント“SCRAMBLE vol.2”が8月12日に渋谷の「クラブ エイジア」で開催される。出演者はラッパーのJUBEE (CreativeDrugStore)や藤田織也(Bleecker Chrome)、tofubeats、ZEN-LA-ROCKなど、サロンの周年イベントとは思えない豪華なラインアップだ。なぜこのラインアップが実現できたのか。そしてなぜこのタイミングでイベントを行うのか。イベントについて「レコ」代表の内田聡一郎と店長のAMANEに話を聞いた。

「これをきっかけにクラブで遊ぶ人が増えたらうれしい」

WWD:「レコ」がオープンしたのが2018年3月1日。このタイミングで7周年イベントをなぜやろうと思ったのか?

内田聡一郎「レコ」代表(以下、内田):厳密にいうと「レコ」はオープンして6年半なんですが、5周年のイベントも2年前の8月にやったので、(イベントを)やるなら夏がいいなと。あと、7月29日に「クク(QUQU)」がイベントをやったので、それとあわせてサロン全体を盛り上げたいなという思いもあります。

5周年イベントをやった後は、「次は10周年かな」と言ってたんですけど、AMANEやスタッフが「10周年まで待てないです」って言って、みんなのやる気スイッチが入ったんで、「じゃあ7周年でイベントするか」となって。

WWD:今回もヘアサロンのイベントとは思えない豪華な出演者ですね。

内田:やるからには5周年イベントの盛り上がりを超えないといけないなって、僕とAMANEを中心にブッキングはかなりがんばりました。特にAMANEは本格的にDJもやっているので、そのつながりで半分以上のアーティストをブッキングしてくれました。

WWD:出演者はどう選んだんですか

AMANE「レコ」店長(以下、AMANE):「レコ」っぽさは絶対に出したかったので、 出演者の9割ほどがサロンにお客さんで来てくれている人たちです。1階のメインフロアとバーフロアは割とオールジャンルで、誰でも楽しめるようにブッキングしつつ、2階はディープな層に向けてハウス、テクノのDJを中心にブッキングしました。

内田:イベント名の“SCRAMBLE”は渋谷のスクランブル交差点からつけていて、いろんなジャンルの人が入り乱れるというイメージで、若手からベテラン、アイドルまで、ごちゃ混ぜ感があって「レコ」っぽい、ありそうでないラインアップになりました。しかも今回は17時から29時まで12時間やるんですよ。

AMANE:5周年のときは17時から23時まででしたね。

内田:時間も出演者も倍にパワーアップしています。AMANEと話しながら、「出てもらいたい人がいっぱいいて、23時までだとどう考えても終わらないよね」ってなって。「もう朝までやっちゃうか」ってノリで決めました。

いろんなファン層が入り乱れると思うんで、普段の音楽のパーティーだと触れてこなかった音楽に出会って、「これもかっこいいな」って思う人もいるはず。実際僕らもそういう体験をしてきているので、今回のイベントがその一つのきっかけになればいいよね。

AMANE:そうですね。これをきっかけにクラブで遊ぶ人が増えたらうれしいです。

内田:イベントの裏テーマとしては、日頃AMANEがやっているようなイベントやクラブにも来てもらいたいという思いがあります。僕はそういうカルチャーで育ってきて、そこの面白さを知っているので、少しでも伝えられればいいですね。

美容以外のコミュニティーにもアプローチ

WWD:ヘアショーをやるわけじゃないですよね。

内田:それはまったく考えてません。もう一切ヘアは絡ませないというのは最初からのコンセプトです。よく美容室の周年のイベントって、ヘアショーメインで合間にライブやDJタイムがあったりするじゃないですか。それは否定するつもりはないですし、僕らも散々やってきたので、せっかくなら“SCRAMBLE”では違うことをやろうかなと思って。

やっぱり美容以外のコミュニティーにもアプローチしたいというか、普通にクラブ好きな人たちがこの出演者を見て、「このイベント、ヤバい」って思ってもらえたらうれしいですし、そこが一番の狙いです。なんなら「レコ」のことを知らなくて、このメンツだけを見て遊びに来て、実は美容室がやっているイベントなんだって知ってもらえるのが最高ですね。内容的に音楽好きな人が来ても楽しんでもらえると思います。

WWD:内田さん、AMENEさんも含め、「レコ」のメンバーも結構出ますね。

内田:サロン内にCDJの機材があるというのも大きいんですけど、いつでもDJやれる環境にあるんで、気が付いたらDJをやるサロンスタッフが増えてきました。AMANEはかなり本格的にDJもやっていて、僕よりも全然コアにやってます。

AMANE:「レコ」だとDJをやっても否定されないっていうのは大きいですね。「全然やっていいよ」という感じなので。僕自身も自分のイベントを月に2回くらいやっていたり、月6〜10本くらいはDJをやっています。

WWD:今回は朝までやるということで、さすがに次の日は、サロンは休みですか?

内田:ワーカホリックの自分でもさすがに次の休みですね(笑)。だからもう覚悟してやろうと思って。リハーサルから考えると13時間以上は現場にいるんですが、大量にアルコールも摂取すると思うので、朝方には酔っ払って「エイジア」の隣の駐車場でぶっ倒れてる可能性あります。

AMANE:そんなレアな内田さんが見れるかも。

内田:割と次の日のことを考えてすぐ帰るタイプなんですけど、この日だけは久々に朝までいて、めいっぱい楽しもうと思ってます。ぜひ、みなさんも一緒に楽しみましょう。

オープンから振り返って

WWD:せっかくのタイミングなので、オープンから現在までを振り返っていこうかなと。今、スタッフ数は?

内田:「レコ」「クク」「レコ オーベン(LECO öben)」「レコ オッド(LECO odd)」の4店舗合わせて40人ほどです。

WWD:オープンから現在まで順調でしたか?

内田:最初の2、3年は結構大変でしたね。創業メンバーも何人か辞めたり、コロナもありましたし。でも今のところ、経営が危ないみたいなことはなかったです。

WWD:内田さんはクリエイターとしても活躍して、経営者としても成功しています。

内田:自分では経営者って意識はそこまでなくて。僕は結構放任主義なんで、みんなが好きなことをやって、楽しくやってくれればいいかなって思ってます。

WWD:それでもこれだけサロンの色が強くて、少しずつ拡大しているサロンってなかなかないと思いますよ。

内田:やっぱり美容室って、ビジネス型とデザイン型ってまだ分かれていると思うんですけど、僕はハイブリッドでやっていきたいし、そのパイオニアになりたいと思ってます。デザインでも認められたいし、組織としても評価されたい。若いころからいろいろと面白いことやっている人に憧れがあったし、そういう人たちがかっこいいなと思ってたんで、スタッフにもそういう気持ちを共有しつつ、組織としてどうするかっていうのはまだまだ模索中ではあります。

WWD:フォトコンも定期的にやってますね。

内田:3カ月に1回くらいのペースでやってます。やっぱり、1人1人モチベーションは違うし、大変だと思うんですが、続けていくことで、結果的にその人の力になると思うし。ルーティンにすることで、自然と作品作りへのハードルも下がるだろうし。

WWD:AMANEさんから見た経営者としての内田さんはどうですか?

AMANE:ずっと背中で見せて、走り続けてくれているというのは本当にすごいし、ありがたいです。自分たちもやらなきゃいけないなって思いますね。あとは、スタッフがやりたいことには基本的に反対しないし、後押ししてくれる。さっきも言いましたが、僕がDJをやるのも応援してくれていますし。ただ、中途半端にやると怒られます。

内田:ブランディングがあるようでないのが「レコ」。他のサロンだと、(スタッフの)ファッションやSNS のやり方とかも細かく決めていたりもするんですが、うちの場合はみんな自由にやっていて、よく見るとスタッフ1人1人の打ち出すヘアとかも違っていたりするんです。うちはハイトーンのイメージが強いと思うんですが、AMANEはパーマが得意だったりしますし。まぁ基本的に「レコ」で働きたいという時点で、ある程度好きなものは似ているので、そこの共通認識は持てているかなと思うんですが。でも、その振り幅の広さが今のところいい感じに「レコ」っぽさにつながっているのかもしれないです。

AMANE:逆にみんな人とかぶらないように違うことをやろうという思っているところもあります。内田さんや浦さんを見ていると、自分らしさって大事だなと思います。内田さんを目指してもなれるわけではないので。

内田:「自分の色を出そう」という意識は他のサロンよりは強いかもしれないですね。 時にはそれが強くて、ちょっと動物園化してコントロールが大変なときもあるんですが(笑)。でも芯の部分ではみんな分かり合ってるっていうか、尊重し合えてはいると思います。

WWD:今後については?

内田:来年の新卒が入ると50人ぐらいになるので、自ずと新店舗の出店は考えなきゃいけないでしょうね。でも20店舗展開で、社員100人とか正直考えていないというか、考えたくないというか(笑)。まぁ徒然なるままにっていう感じで。自分は結構決断が早い方だと思うので、なるべくフラットにその時々の気分や情勢を考えて、やっていこうかなと思っています。

あと、さっきも言ったんですけど、常に面白くありたいというもあって。会社を大きくして、「なんかつまんない美容室になったな」って絶対に思われたくないですし。なんなら、美容室も経営しながら、クラブを経営したりしてもいいわけで。それこそ、「レコ」だからできることだとも思うので。

AMANE:それ、ヤバいっすね。

内田:そういうのがやっぱ面白いよね。 今回のイベントもそうですけど、オーバーグラウンドとアンダーグラウンド、美容業界とそれ以外の業界とか、いろんなジャンルをクロスオーバーさせてつなげるっていうのは、自分の使命だと思っているので。軸は美容業界におきつつ、そこから面白いことを仕掛けられたらなと思います。

■LECO inc. 7th Anniversary “SCRAMBLE vol.2”
開催日:8月12日
時間:17:00〜26:00
※ 本公演は入場時ID check(顔写真付き身分証確認)あり。22:00以降は未成年(20歳未満)の方は退出。
価格:(前売り)3500円、(当日)4000円)、サロンメンバー、美容学生2000円 (要「LECO」アプリ会員登録)(※要学生証)
https://cultureofasia.zaiko.io/item/364976

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