ファスナー大手YKKの24年4〜6月期のファスニング事業(未上場)は、売上高が前年同期比23.6%増の1158億円、営業利益が同52.6%増の142億円だった。欧州と米国エリアは引き続き低調だったものの、ASEANとISAMEA(インド及び南アジア/中東/アフリカ)、中国エリアで24年秋冬物の受注が好調だった。ファスナーで高いシェアを持つ同社の業績は、世界のアパレル産業の先行指標の一つ。主要生産国である中国やASEANエリアの回復は、下半期に向け世界の衣料市場が回復に向かいつつあることを示している。
24年3月期通期では、売上高は同0.3%と横ばいだったものの、営業利益が同33.0%減と苦戦していた。欧米市場発の衣料市況の悪化に伴い、流通在庫の消化が進まず、主要生産地域であるASEANエリアが苦戦していた。
同社のファスニング事業は、四半期ベースでは24年1〜3月期から回復に転じており、「コロナ禍以降、高止まりしていたアパレルの在庫水準が低下している」という。ただ、ラグジュアリーブランドを主な販路とする欧州、ジーンズを主販路とする米国は引き続き低調だった。