ファッション

衣料品リサイクルのショーイチが「ミラノ・ウニカ」初出展 ラグジュアリーブランドも好反応

近年、衣料品のリサイクル事業に注力しているショーイチ(大阪、山本昌一社長)は、7月9〜11日に伊ミラノで開かれた素材展「ミラノ・ウニカ」に初出展した。「日本のアパレルや小売企業の間では、ありがたいことにショーイチはリサイクル事業で一定の知名度を得ており、口コミでクライアントが増えている」と山本社長。国内企業に加え、ラグジュアリーブランドを含む海外企業ともつながってリサイクルを進めていく方法を探っていた際、国内産地の有力素材メーカー数社に「ミラノ・ウニカ」出展を薦められたのだという。

年内には海外企業と契約へ

「ミラノ・ウニカ」は半期に1度ミラノで開催される素材の大型見本市で、今年7月の展示会にはイタリア内外から約570社が出展し、3日間で約5500社が来場した。ショーイチは自社のブースで、余剰在庫を引き取って仕分けし、国内産地のパートナー企業と組んで反毛し、紡績して再び生地を作るというサービスを紹介。実際にリサイクルしてできた生地や、それを使用した製品サンプルも展示した。その結果、ラグジュアリーを含む多数の海外企業の担当者がブースを訪れ、商談が進んだ。「年内には契約につなげていきたい。こちらから再度欧州に出向いて追加説明する用意もある」と山本社長は意気込む。

クリーンエネルギーの
船便でCO2削減

ただし、衣料品のリサイクルを提供している企業は現地欧州にももちろんある。わざわざ日本のショーイチのところに余剰在庫を運ばなくても、欧州の在庫は欧州でリサイクルができる。その方が輸送で余分なCO2も出ない。その点は、「クリーンエネルギーの船便を使うことで懸念を払拭する。輸送費はショーイチで持つことも考えている」と山本社長。ウニカの来場者と話す中で、「欧州のリサイクル企業は引き取ってくれる余剰在庫の量に制限がある」「自分たちで仕分けをしてからリサイクル企業に送らねばならず、作業に慣れていないため困難」といった声を聞いた。「欧州は廃棄に関する法規制が先行していることで、現場の担当者はどうしたらいいのかいよいよ困っている。サステナビリティに対する解像度や問題意識の深さは担当者によってさまざまだと感じたが、各社の問題意識に寄り添い、的確なリサイクル方法を提案したい」。

尾州の反毛ウールに高評価

来場者からは、展示していたリサイクル素材に対しての高評価も得た。特に、尾州(愛知)などの素材メーカーと組んでいる反毛ウールに、「反毛でここまで繊維を細くできる点がすばらしい」という声が集まったという。「日本の産地と組んでいるからこその技術力の高さが評価された」と山本社長は分析。ショーイチの取組先は尾州だけではなく、例えば泉州(大阪)の工場は、レザーや人工皮革、ゴムなども破砕して他の素材と共にフェルトに変えられる。このように作られたフェルトは柔軟で軽量、耐久性に優れており、自動車向け資材や建築資材として活用され、廃棄物削減に貢献する。「レザーシューズやバッグの余剰在庫のリサイクルは服以上にいま大きな課題となっているが、それにも対応できる」点も強みだ。また、欧州企業からは、反毛してできたリサイクル糸を再度自社に納入してほしいという声も多かった。それももちろん可能だ。

「ファッションは
冒険要素を持ち続けてほしい」

「ショーイチが全て引き取ってくれるから、いくらでも在庫を残して大丈夫という意識になってしまっては本末転倒だ」と山本社長はアパレル業界に釘も刺す。「なるべく在庫を残さないように、適量を見定めて作ることはもちろん重要」と語る。ただし、ファッションは必ず売れるものだけ作るのではつまらない。ある程度の冒険要素がないと、ワクワクしないし新しいものも生まれない。「ショーイチが後ろに構えているから、ファッションの魅力の1つである挑戦の姿勢を持ち続けてほしい。何よりも、どうリサイクルするべきか困っている現場の担当者たちをしっかりサポートしたい」と山本社長は繰り返す。手応えを感じたことから、2025年2月の「ミラノ・ウニカ」にも継続出展予定だ。

問い合わせ先
ショーイチ
050-3151-5247