ファッション
連載 齊藤孝浩の業界のミカタ 第64回

アウトドアブームだけではない! ゴールドウインの好調が続く本当の理由

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企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回は「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」を擁するゴールドウイン(GOLDWIN)の決算書から、その好調理由を探る。(この記事は「WWDJAPAN」2024年8月19日号からの抜粋です)


ゴールドウインは「ザ・ノース・フェイス」「ヘリーハンセン(HELLY HANSEN)」などの日本での商標権を取得しているブランドを中心に、オリジナルブランド「ゴールドウイン」や、「スピード(SPEEDO)」のライセンスを含め、約20ブランドを展開しています。

主力ブランド「ザ・ノース・フェイス」が好調で、2024年3月期の連結売上高は前期比10.3%増の1269億円で過去最高を更新。営業利益は同8.9%増の238億円、純利益が同15.7%増の248億円で2期連続で最高益を更新しました。過去10年の年平均成長率は8.7%と基本的に右肩上がりです。

それは単に、コロナ禍のアウトドアブームに後押しされ、かつ知名度のある「ザ・ノース・フェイス」が人気で売れているからだろうと思ってしまいがちですが、決算書からはコロナ禍前からの改革がしっかり実って過去最高水準の利益を確保できているのが読み取れます。

営業利益率がぐっと上がったのが18年3月期から。伸びる前の17年3月期と直近のPL(損益計算書)とBS(貸借対照表)を見比べてみましょう。まずPLでは粗利率が7ポイント増えて、同時に人件費率など販売管理費率が6ポイントも下がっています。その結果、営業利益率が上がっているのです。BSを見ると、在庫が減り、現預金が増えています。その結果、長期借入がほぼなくなり、自己資本比率が18ポイント上がっています。

「自主管理売上比率」というKPI

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