エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES以下、ELC)は8月19日(現地時間)、ファブリツィオ・フリーダ(Fabrizio Freda)最高経営責任者(CEO)が来年末に退任することを明らかにした。同社は傘下に「M・A・C」や「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」「クリニーク(CLINIQUE)」「トム フォード(TOM FORD)」「ラ・メール(LA MER)」を擁する。
米「WWD」が確認したウィリアム・P・ローダー(William P. Lauder)=エグゼクティブ・チェアマンによる社内メモによると、後任は複数の候補者の中から検討中で、選定は「かなり進んでいる」という。同氏は「取締役会とローダー一族を代表して、ファブリツィオの16年以上にわたる会社への貢献に心から感謝の意を表したい。正式な退任日まで、取締役会とファブリツィオ、経営陣全体で現在の課題を解決することに集中して取り組んでいく」とコメントした。なお、後任が決定するまで、フリーダCEOが引き続き同社を率いる。
フリーダCEOは今月67歳を迎える。同社での16年間を「真に名誉で光栄なこと」だったと語り、「当社の素晴らしい業績と、業界で最も才能があり、献身的で情熱的なチームを構築できたことを誇りに思う。私たちは長期的な目線で経営しており、この素晴らしい会社の次世代のリーダーシップに目を向ける時期だ」と述べた。
ELCはフリーダCEOの下、中国の美容ブームの波に乗り、ヒーローアイテムに注力することで長年成功を収めてきた。また、フリーダCEOは「オーディナリー(THE ORDINARY)」を手掛けるカナダ発の化粧品メーカー、デシエム(DECIEM)や 「トム フォード」など数多くの買収を統括した。同氏がCEOに就任した2009年当時、ELCの株価は16.75ドル(約2445円)前後で推移していたが、22年1月には370ドル(約5万4020円)以上をつけるなどピークを迎え、時価総額は1330億ドル(約19兆4180億円)以上に。しかし、コロナ禍の収束後にアジアのトラベルリテール市場と中国事業が回復せず、苦戦を強いられた。アナリストらはイノベーションの欠如と本拠地である米国市場が軟調であることを指摘しており、8月16日の株価の終値は94.97ドル(約1万3865円)だった。