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ロロ・ピアーナ100周年 CEOが語るビジョンと広がる世界観

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ロロ・ピアーナは、イタリア・ヴァルセージアで1924年に創業し、今年で100周年を迎えた。現在は最高品質のカシミヤやビキューナなどを世界中に提供し、1980年代にラグジュアリーグッズ部門を立ち上げ、自社工場で繊維の生産から製品化までを一貫して行う。100年をかけて、上質な生地のようにしなやかに進化してきたロロ・ピアーナの強みとは。改装した銀座店やトップへのインタビュー、商品の魅力から解き明かす。

生まれ変わった銀座店で
世界観を堪能

東京・銀座の銀座中央通りに構える旗艦店が、1年以上を要した改装を終えてリニューアルオープンした。生まれ変わった銀座店には、ロロ・ピアーナらしい“おもてなし”を随所に込めている。1階は売り場面積を大幅に拡張し、エントランスの先では広々した温かみのある空間がゲストを迎える。新設したバッグカウンターには、注力しているレザーバッグやグッズが並んでいる。

空間と商品をさらに魅力的に見せるため、光にもこだわった。2階のウィメンズフロアは改装により自然光が差し込み、開放的なムードを演出する。全フロアの天井ライトは自然光をイメージして明るさを一つ一つ微調整し、ゲストがリラックスできる空間を提供する。

店内に設置する「ロロ・ピアーナ・インテリア」の家具も、ラウンジのイメージで刷新した。インテリアや階段をゆるやかな曲線が縁取り、しなやかに世界観を拡張するロロ・ピアーナらしい空間だ。

CEOが語るロロ・ピアーナの100年

ロロ・ピアーナは、創業者ピエトロ・ロロ・ピアーナが100年前の設立時に抱いた情熱を、現在もさまざまな事業やクラフツマンシップを通じて継承している。メゾンの好調なビジネスを率いるのが、ダミアン・ベルトランCEOだ。同氏は2021年に現職に就くと、主要3事業であるテキスタイルとラグジュアリーグッズ、インテリア部門においてさまざまな改革に挑んでいる。国際経験豊かなCEOが描く成長戦略とは。

WWD:創業100周年を迎えたロロ・ピアーナとは、改めてどういうメゾンなのか。

ダミアン・ベルトラン=ロロ・ピアーナCEO(以下、ベルトラン):ロロ・ピアーナは、究極のラグジュアリーを体現するメゾンだ。私たちの製品は、テキスタイルの豊かな歴史があるからこそ、今でも触れると瞬時にそれと分かる。真のラグジュアリーとは、卓越性を追求し、最高の素材を追求し、最高品質のコレクションを創り出すために、必要な時間をかけること。ロロ・ピアーナは、究極的なタイムレスなエレガンスと世界で最も洗練された最高の素材を、現代的なシルエットで提案している。

WWD:2021 年に現職就任後、最大のミッションは?

ベルトラン:私は着任時、メゾンの真髄を理解し、その魅力溢れるヘリテージや歴史を発見しようと決めた。そして、よりモダンでスタイリッシュ、現代的でありながらタイムレスで、ロロ・ピアーナのスタイルだと人々が認識できるようなロロ・ピアーナの新しいシルエットをチームと共に作り出すことに着手した。同時に、ウィメンズとメンズのコレクションを、同じインスピレーションで一つにまとめた。今ではメンズ、ウィメンズのシルエットは呼応している。

WWD:現在好調なカテゴリーは?

ベルトラン:レザーグッズはシーズンごとに成長している。例えば、“ベイル・バッグ”や“エクストラ・バッグ”などのバッグは、現在最も求められている製品の一つである。また、コスチューム・ジュエリーのような新しい製品カテゴリーも発表したばかりだ。このブレスレットとネックレスのコレクションは、メゾンの職人技と革新という貴重なヘリテージを称えている。

メゾンを支えるクラフツマンシップ

WWD:キャッシュデニム®️は、イタリアと日本の職人技術をもって完成した製品だ。実現までの背景は?

ベルトラン:キャッシュデニム®️は、伊ピエモンテのロロ・ピアーナの職人と、日本の備後地方にあるデニムのスペシャリストたちとの稀有な知識交換の中で生まれた。このプロジェクトは、世界でも偉大な 2 つのテキスタイルの伝統における、職人によるテキスタイル生産へのお互いへの敬意のもとで実現した。一方は、備後地方の職人による歴史ある日本のノウハウで、その独自のセルヴェッジデニムは、特殊なシャトル織機を使いこなすことで生まれている。もう一方は、卓越性を追求してあらゆる革新の限界に挑戦するロロ・ピアーナの文化と、貴重な繊維の扱いに長けたロロ・ピアーナの技術である。

WWD:イメージの刷新にも注力している印象だ。

ベルトラン:広告キャンペーンは、より気品と洗練に溢れ、新たな光と共に私たちのシルエットを新しい形で表現している。さらに、店舗には新しいコンセプトを導入した。セルジオ・ロロ・ピアーナのビジョンから発展した新しいコンセプトは、天然素材や温かみのあるカラーパレット、私たちのシグネチャーであるオーク材を用いたカラボッティーノのディテールなど、原点ともいえるコアの要素とフィーリングを守りながら、現代的なタッチを加えている。

WWD:ロロ・ピアーナ銀座店リニューアルの意図は?

ベルトラン:ロロ・ピアーナ銀座店はロロ・ピアーナの世界的な店舗網の中で重要な役割を果たしている。私たちは新しいストアコンセプトを昨年導入し、銀座店にも適用することが重要だと考えた。銀座店の新しいコンセプトとインテリアデザインでは、コアとなる要素を守りながら、ロロ・ピアーナのアイコニックなスタイルを紹介し、店内のあらゆる要素でメゾンらしさを純粋に表現している。バッグのディスプレーのために、日本にインスピレーションを得た装飾を施した特注のコンソールを設置した。今後も銀座店のように、新しいストアコンセプトを適用し既存の店舗を改装する予定だ。

WWD:次の 100 年に向けて、どう進化していきたいか。

ベルトラン:メゾンはここ数年で大きく変わったが、私たちは常に卓越性、品質へのこだわり、伝統、革新、ヘリテージ、そしてファミリーへと立ち戻ることを大切にしてきた。世界が急速に変化している今日、ヘリテージを尊重することはとても大切だ。私たちは、ノウハウとさまざまなステークホルダーとの信頼関係を大切にしながら、責任ある方法で卓越性を追求し続けたい。

到達したデニムの新境地

ロロ・ピアーナのクラフツマンシップをデニムで表現したカプセルコレクション“ロロ・デニム”が、2024-25年秋冬シーズンにデビューした。同コレクションでは、タイムレスなジーンズやジャケットを、革新的なデニム素材や職人技でエレガントに仕立て、デニムの新たな可能性を開く。アイテムは、取り外し可能なカシミヤのジレ付きのジャケットやキャッシュデニム®︎のジーンズ、クリーンなムードでセットアップ着用もできるトップスやパンツ、汎用性の高いバッグやシューズなど63型をそろえる。

アイテムに用いたデニムもさまざまだ。キャッシュデニム®︎は、コットン60%とカシミヤ40%の交織素材で、伊ピエモンテ州のロロ・ピアーナの職人と備後地方のデニム生産者との協業で誕生した。ほかにもソリッドブルーの染料を使った“キャッシュデニム®︎・リアクティブ”やデニムフラワー、デニムシャンブレー、シーアイランドデニムなど、表情豊かなデニムがライアンアップする。

伊勢丹新宿本店の本館1階ザ・ステージでは、“ロロ・デニム”のデビューに合わせたポップアップストアを9月11〜17日に開催する。

問い合わせ先
ロロ・ピアーナ ジャパン
03-5579-5182