“保守的”を意味する“コンサバティブ”を、ちょっとだけひねった“ネオ・コンサバ”がじわりと浸透しつつあります。着こなしのコツは、定番アイテムをベースに、やり過ぎない程度の“ずらし”を仕掛けること。目新しい変化球のディテールを盛り込んだアイテムも登場しています。“普通に見えて、どこか違う”という絶妙なさじ加減をストリートスナップから押さえていきましょう。
写真の女性は、シャツにタイトスカートという“THE コンサバスタイル”ですが、どこか違って見える理由は、シャツにあります。手を半分ぐらい覆う長めの袖丈で、色もほんのりベージュピンクがかっています。一方、スカートは淡いレモンイエローで、上下でトーンは近いものの、ややずらした組み合わせ。こういったささいな“ノイズ”を仕込むのが、“ネオ・コンサバ”の流儀です。
カジュアルシャツは
ディテールとさりげないアレンジが鍵
シャツはコンサバの代名詞的なアイテムですが、着回しやすく、自然と出番が多くなる重宝トップスでもあります。ベーシックなデザインに加え、ディテールに凝ったタイプも多く登場しています。目立ち過ぎない控えめな主張がウィットを漂わせます。
1枚目の街角ルックは、カーキ系カラーが“技あり”。一見ミリタリー色を帯びたオーソドックスなシャツですが、よく見ると裾がアシンメトリーに。ロゴがアイキャッチーなネクタイをタイドアップして、アクセントを添えました。
ディテールに凝ったシャツでなくても、ひねりを加えた着こなしは可能です。例えば、お約束のカラーバランスを崩すようなアレンジがその一つ。見慣れたコンビネーションであればあるほど、ずらし効果のインパクトは強まります。
2枚目のデニムルックは、着こなしの小技が効いた好例です。定番の“デニムonデニム”のコンビネーションですが、シャツのカラートーンを薄めることで、まとまりすぎるのを避けています。両袖は無造作にまくり上げ、正面はボタンを大胆に開けて、ヘルシーなムードを演出。裾はブラウジングして、エフォートレス感を引き出しました。
大人のショートパンツは
ワントーンでエレガントに
夏の定番ボトムスといえば、ショートパンツ。カジュアルな印象が強いですが、組み合わせるアイテムを変えれば、全体の印象も様変わりします。
1枚目の女性は、ショートパンツにライトアウターをコーディネート。チラリとのぞくブラトップでヘルシーな印象を与えつつ、アウターで露出加減をコントロールして、落ち着きを添えています。逆に、足元はプラットフォーム・ローファーでエッジーに。ラグジュアリーなバッグも携えて、アスレチックに寄せすぎないさじ加減が巧みです。
ショートパンツをシックに着こなすなら、色や質感を意識して。ダーク系カラーのワントーンでまとめれば、着用のシーンも広がります。
2枚目の街角ルックは、ワントーンでドレッシーにまとめたスタイリングです。トップスはシンプルな黒シャツで、同じく黒のショートパンツは脇にスリット入りのミニスカート仕立て。サングラス、バッグ、シューズも黒で統一して、レディーライクなたたずまいに。シャープなレッグラインを引き立てる効果も発揮しています。
ブラトップはモノトーンでシックに
アイキャッチーなアイテムを取り入れると、コンサバな印象を遠ざけられます。涼しげなブラトップはサマールックに絶好のスパイスを利かせてくれます。ヌーディーに見えがちな点は、シャツやアウターでカバーすれば、涼感とフェティッシュの両得に。、、
1枚目の女性は、黒いブラトップに白いシアーなシャツを重ねました。透け感の強いシャツだけに、ブラトップの存在感が際立っています。正面のスカーフのようなパーツが、ブラトップを程よくカムフラージュ。ボトムスは黒パンを選んで、全体をすっきりしたモノトーンにまとめ上げています。
ブラトップとトップスを融合した新発想のアイテムも登場しています。モノトーンでまとめると、センシュアルなイメージを薄めてくれます。
2枚目の女性がまとっているのは、ブラトップ風のニットボレロ。スイムウエアのようなブラトップに、異素材のニットボレロを融合。やさしげな雰囲気を寄り添わせました。手持ちのブラトップにカーディガンを重ねる応用も可能です。ボトムスにはシックな黒のバルーンスカートを迎えて、ボリュームのめりはりを際立たせました。
“ネオ・コンサバ”は、コンサバが持つ落ち着いた印象がベースにあるので、遊びの余地が大きいスタイリングです。シャツやショートパンツ、ブラトップといった、見慣れたアイテムも、小技や組み合わせ方次第で、鮮度を高められます。暑い日が続く夏こそ、“シンプルだけど、普通じゃない”コーディネートは、使いでがあります。手持ちのアイテムから別の顔を引き出せるメリットも大です。