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フォンテインズD.C.が語るスマッシング・パンプキンズやKornからの影響——最新作「Romance」インタビュー

隣国のイギリスと呼応するかたちで、近年めざましい活況を呈してきたアイルランドのロック・シーン。中でもその代表格が、首都ダブリンで結成された5人組、フォンテインズD.C.(Fontaines D.C.)だ。

アイリッシュ・ポエットやビート文学の話題で意気投合し、地元のパブでテーブルを囲みながら詩を書き始めたことが曲作りの始まりだったというデビュー・アルバム「Dogrel」(2019年)。ブラック・ミディやシェイムなどサウス・ロンドンの新世代と共振する現行ポスト・パンクの一角として早くから注目を集め、国内外の名だたる音楽賞で受賞やノミネートを重ねるなか、4年前にリリースした2ndアルバム「A Hero's Death」(2020年)がグラミー賞で「Best Rock Album」の候補に選出。U2やシネイド・オコナーに続く母国のグラミーノミニーとなり、今やグローバルな評価を手にするに至ったか彼らの軌跡は、復調が叫ばれて久しい昨今のロック・シーンにおいても際立った例といえるかもしれない。

そんなフォンテインズD.C.が、名門レーベル<XL Recordings>に移籍して、4作目となる2年ぶりのニュー・アルバム「Romance」をリリースする。前作「Skinty Fia」(2022年)で試みたエレクトロニックなアプローチを推し進め、さらにさまざまなアコースティック楽器も取り入れながら、シューゲイザー、グランジ、ニュー・メタル、サイケ・フォーク、ヒップホップ、テクノなど多彩な要素をまとめ上げたサウンドスケープ。新たにジェームス・フォード(アークティック・モンキーズ、ラスト・ディナー・パーティー)をプロデューサーに起用し、とりわけメロトロンやストリングス・アレンジメントが形作るレイヤー豊かな音色は今作を特徴づける音楽的なポイントだろう。加えて、「アイリッシュネス(アイルランド人としての存在証明)」がテーマとしてあったこれまでのアルバムに対し、そこから解き放たれたようにイマジネーションとドラマ性を増したリリックも印象的だ。

今回、ニュー・アルバム「Romance」の背景とバンドの現在について、「フジロック」出演のために来日したフォンテインズD.C.のコナー・カーリー(ギター)とトム・コール(ドラムス)に聞いた。

「ファッションは自己表現の方法としてすごく面白いって気付いた」

——今回のニュー・アルバムの告知に合わせてカヴァーを飾った「Crack Magazine」でのメンバーのファッション――ネオン・カラーの効いたスケート・パンク風のルックを見て、とても驚きました。あの一新されたビジュアルのイメージは、今回のアルバムに向けたバンドのどんなモードが反映されたものだと言えますか。


トム・コール(以下、トム):そうだね、さっきも考えていたのは……この前(去年)の東京へのツアーが僕らに大きな影響を与えたってことなんだ。特に東京のファッションは衝撃的で、本当に目からうろこだった。すごく未来的で、クリエイティブな面で大きなターニングポイントになったような気がする。とても刺激されたし、あの経験が、僕らの音楽にも大きな影響を与えたのは間違いないと思う。ファッションって、音楽に直接影響を与えると思うし、東京で見たファッションが僕らの創造性のスイッチを入れて、今までとは全く違うモードになったというか。

コナー・カーリー(以下、カーリー):これまでバンドとしては正直、ファッションについてそこまで意識したことがなかったんだ。でも、ファッションにハマってみると、自己表現の方法としてすごく面白いって気付いた。まるで麻薬にハマるみたいにのめり込んでしまう(笑)。ファッションって、自分自身を表現するためのもう一つの言語みたいなもので、だからファッションと音楽を組み合わせることで、音楽に新しい側面を加えることができるって思うんだ。

このアルバムでは、ポップ・ミュージックやヒップホップからたくさんのインスピレーションを得たから、それでファッションも大胆になったんじゃないかな。例えばポップやヒップホップの世界では、派手なファッションは当たり前だけど、ギター・ロックの世界だとちょっと浮いてしまう。だからファッションを通じて、音楽とはまた違った形で自分を表現できることがすごく新鮮で興奮するんだ。ファッションって、音楽に新しいサウンドを生み出すインスピレーションになることもあると思うんだ。

——確かに、あのカラフルだけどダークで、ハイブリッドでエッジーなファッションは、今回のアルバムのサウンドのトーンと重なるものだと思います。

トム:このニュー・アルバムでは、エレクトロニックでシンセサイザー的な要素がたくさん取り入れられていて、大きな絵の具のパレットで絵を描くみたいに、より広大なサウンドスケープを創り上げたかったんだ。僕らは今回、90年代の音楽、特にスマッシング・パンプキンズのようなグランジにインスピレーションを受けつつ、一方でレイブ・ミュージックのエネルギーを加えることで、独自のサウンドを確立しようとした。さまざまな色を混ぜ合わせて、新たな色を生み出すようにね。派手な服を着てスタジオに入ると、自然と曲ももっとエネルギッシュになったり、新しいアイデアが浮かんだりするように、ファッションって感情や創造性を刺激してくれるものなんだと思う。

ニューアルバム「Romance」での新しい試み

——トムはプレスリリースの中で、今作は「初めてのスタジオ・アルバム」だとコメントしています。その意味するところはなんでしょう? というのも、フォンテインズD.C.の曲作りではこれまで一貫して、「スタジオの外でも再現可能かどうか?」というジャッジが不文律としてあったと思うのですが。

トム:その通りで、最初の3枚のアルバムでは、自分たちが持っている楽器でライブ演奏できない曲は作らないという、ある種のルールを強いていた。逆にいうと、それが自分たちに制約を課していたところがあったと思う。でも、今回のアルバムではもっと自由に音楽を作りたかった。ストリングスやシンセサイザーをたくさん重ねて、より複雑で奥行きのあるサウンドにしたかった。だから、以前のような制限を設けずに、曲作りに没頭して、僕らが感じるままに多くのレイヤーを追加していった。ライブでどう演奏するかは後で考えよう、ってことにしてね(笑)。

カーリー:そう。今回は、ライブでどう演奏するかは考えずに、僕たちがやりたいと思ったことをどんどん曲に詰め込んでいった。これまでのアルバムとは全く違う、新しい作曲方法だったよ。

——先ほど名前が挙がったスマッシング・パンプキンズ以外で、今回のサウンドのリファレンスとなったアーティストはいましたか。前作ではプライマル・スクリームやデス・イン・ヴェガス、ロニ・サイズなどを挙げていましたが。

トム:デフトーンズもそうだと思う。

カーリー:間違いないね。あと、2000年代前半のKorn(コーン)のレコードも大きかったと思う。でもそれは、一般的にいう“影響”とは違っていて。サウンドそのものに影響を受けるっていう意味じゃなくて、その音楽から感じるエネルギーとか、その音楽が作り出す世界観みたいなものが僕らの心に染み込んで、自然と自分たちの音楽に影響を与えた感じだね。

——Kornの名前は、グリアンもCrack Magazineのインタビューで挙げていましたね。ただ、フォンテインズD.C.とKornって、意外すぎる組み合わせというか、これまでのイメージからするとあまりにかけ離れていて……。

カーリー:まあそうだよね(笑)。ただ、Kornや、それにスリップノットのようなバンドにしろ、従来の音楽の枠を超えたヘビィでアグレッシブなサウンドと、衝撃的なビジュアルを融合させることで独自の世界を築き上げている点で革新的だったと思う。ポスト・モダンな要素を取り入れながらも、決して時代遅れになることのない、新鮮なエネルギーが感じられる。さっきのファッションの話ともつながるけど、そうして自分たちでビジュアルとサウンドを一体化して、一つの世界観みたいなものを作り上げているところに、一番インスピレーションを受けたんじゃないかな。

——ちなみに、今回のアルバムでブレイクスルーになった曲は?

トム:「Here's The Thing」かな。あの曲は、このアルバムがこれまで自分たちがやってきたこととは全く違うものである、ということを体現していると思う。「このアルバムが何を表現しようとしているのか?」という問いに対する答えの多くと結びついているというか。

カーリー:「In The Modern World」もそうだと思う。あのストリングスのパレットは、ある意味、この世界の縮図のようなものなんだ。まるでこの世界の複雑で美しい混沌を映し出しているような、そんな感覚があのストリングスにはある。その感覚が、このアルバムの核となる部分を支えているのは間違いないと思う。

——前作「Skinty Fia」の制作では新たなアプローチとしてLogicが使われていましたが、今回の曲作りやレコーディングはどのようなプロセスで進められたのでしょうか

トム:このアルバムでは、僕たちのこれまでの制作プロセスとは全く異なるアプローチを取ったんだ。通常は、みんなで顔を突き合わせて曲を書き、リハーサルを重ねて、最後にデモを作成する。でも今回は、曲を書き、一度演奏しただけでレコーディングに臨んだ。その後、ラップトップで編集し、メンバー全員で新しいレイヤーを重ねていった。そうして長い時間をかけてコンピュータ上で曲が作り込まれていった。だから、自分のパートを演奏するだけではなく、サウンド全体を俯瞰して、全ての要素を一つのサウンドとして捉えることができた。そうすることで楽曲全体の完成度を最大限に引き出すことに集中できたし、全体のストーリー性を意識して一貫性のある世界観を構築できたと思う。

——アルバム終盤の「Horseness Is The Whatness」をはじめ、メロトロンのビンテージな音色や、アコースティック楽器が醸し出すオーガニックなテイストも今作では印象的です。

トム:メロトロンは素晴らしいキーボードだよね。バンドのメンバーの中には、実際にメロトロンを手に入れた奴もいた。あれはまるで、本物の弦楽器を自由に操れるような感覚なんだ。素晴らしいストリングス・サウンドを手軽に作り出すことができる。レトロな雰囲気の音色で、アルバム全体に温かみをプラスしてくれたと思う。

——リヴァーブが美しい「Sundowner」では、カーリーがリード・ボーカルを担当しています。グリアン以外がメインで歌う曲はバンド初、になりますね。

カーリー:あれは去年ロンドンで書いた曲で、その時はとても寒くて、だから寒々しい雰囲気の曲が書きたかったんだ(笑)。青みがかかったような曲をね。当時、プライマル・スクリームやマッシヴ・アタックのような、どこかメランコリックなサウンドに惹かれていて。オリジナルのデモはエレクトロニックなドラムを多用していて、もっと実験的でフリーキーなサウンドだったような気がする。でも、最終的に完成したアルバムのバージョンに満足しているよ。

——トムにとって、個人的に思い入れの深い、自分をリプレゼントしてくれるような曲はどの曲になりますか。

トム:間違いなく「Here's The Thing」だと思う。この曲は、僕らがスタジオで書いた最後の曲だったと思う。最後のスタジオ・セッションの日、全てのトラックを仕上げた後にみんなでジャム・セッションを始めたら、突然この曲が生まれたんだ。まるで、曲自体が自分から飛び出してくるような感覚だった。どのアルバムにも自分たちの分身がいるような気がするけど、この曲は特に僕たちの本質を如実に表していると思う。そう、この曲はただ演奏して踊り出したくなるような、純粋な衝動に突き動かされるような曲なんだ。だから「Here's The Thing(※ここに本質がある)」ってタイトルにしたんだ。

——今回のアルバムでは、特に「Desire」や「In The Modern World」で聴ける、グリアンの情熱的でロマンチックな歌声も深い印象を残します。グリアンは昨年、内省的なソロ・レコードを発表しましたが、側(はた)から見て彼の変化を感じたり、何か思うことはありましたか。

トム:最初のレコードから今に至るまで、僕らはそれぞれのポイントにおいて独自のスタイルを確立してきた気がする。その成長の過程で、ボーカリストとしてのグリアンの変化を各作品で見ることができるのは本当に素晴らしいことだと思う。君が言うように、このアルバムは、まさに今に至るまでの彼の変化の軌跡を如実に感じることができる作品だと思うよ。

カーリー:これまでのアルバムでのグリアンのボーカルは、ある種の型にはまったイメージを持たれていたところがあったかもしれない。でも、グリアンはこれまでも常に素晴らしいシンガーだったし、ただ、僕たちの音楽が、シンガーとしての彼の、ある特化したスタイルを際立たせていたという側面もあったと思う。だけど今回のアルバムでは、僕たちの音楽性の変化によって、彼のボーカル・スタイルも新たな境地を開拓できたというか、幅広い表現力が引き出されたところもあったのかもしれないね。

「Romance」は現代社会を寓話のように表現したようなアルバム

——オープニングの「Romance」には、「maybe romance is place(きっとロマンスこそが居場所)」という印象的なフレーズがあります。フォンテインズD.C.の作品では、これまで常に「場所」がテーマとして描かれていて、そこにはアイルランド人としてのアイデンティティーをめぐる問題がさまざまな形で反映されてきました。ただ今作では、そうしたテーマ、いわば自分たちを縛り縛り付けてきた「場所」から解き放たれたような、そんな印象を受けます。

トム:うん、このアルバムはおそらく、より内省的なアルバムだと思う。心の奥底にある静かな感情を表現したかった。それに、僕たちはもう長い間アイルランドを離れていて、だからアイルランドの視点で書くのは後ろめたいというか、それって借り物の感情で歌うような不自然な感じがしたんだ。

カーリー:(今作は)もっとフィクションに近いと思う。「Romance(恋愛、性愛)」とは、架空の物語を紡ぎ出すための場所――というか。現代の出来事をそのまま描くんじゃなくて、現代社会を寓話のように表現したような、そんなアルバムなんだ。

——抽象的な言い方になりますが、今作を通じて“新しい居場所”を見つけた、みたいな感覚もあったのかな?と。

カーリー:それは人生全般について? とても重い質問だな(笑)。でも、どんなアーティストにとっても同じだと思うんだ。自分の人生を濃縮して、そのエッセンスだけを抽出するようなプロセスを経て、最後に残るのは、その軌跡をたどるような作品なんだと思う。それってまるで、自分自身のための奇妙なセラピーというかさ。創造的な活動を通して、何かに没頭することで、自分自身を深く探求する。そしてその結果として、作品という形でそれを世に出す。と同時に、そうやって出来上がった作品と向き合うことで、「自分ってこんな人間なんだ」って改めて気付かされるんだよ。

——プレスリリースには、「このアルバムでは、今までずっと言いたかったけれど、言えなかったことを伝えている」というコメントもありますね。

トム:そうだね、このアルバムは、今の僕たちの姿、今の僕たちがいる“居場所”を映し出しているような気がするんだ。自分たちの心の奥底から湧き出る感情に、嘘偽りなく向き合っている。自分たちの中で何が起こっているのか、今の僕たちが感じていることを、とても正直に、そして誠実に表現している作品だと思う。

——今回のアルバムの曲の中で印象的な歌詞、今の自分の心情を映し出している歌詞を選ぶなら?

カーリー:「I'm the pig on the Chinese calendar(僕は中国暦の豚)」(「Starburster」)かな?(笑)。いや、絞れないよ。でも、「maybe romance is a place」は気に入っている。歌詞を並べていくうちに、曲全体の風景が鮮やかに浮かび上がってきて、自分自身もその世界の中に引き込まれていった。まるで新しい自分に出会えたような感覚だった。「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」みたいに想像力の扉が開かれたというか、「もしかしたらロマンスは実在するのかもしれない」って思わせてくれる。つまり、イマジネーションが現実を彩り、新たな世界を生み出すんだ。

トム:「Horseness is the Whatness」だね。あの曲の歌詞は、客観的に見ても本当に美しい。このアルバム全体の核心を突いているような、強烈なインパクトがある。このアルバムの全ての瞬間を凝縮していて、心に深く残るんだ。

——ちなみに、2人にとって、今作のタイトルである「Romance」を別の言葉で言い換えるとするなら?

トム:「obsession」かな。「ロマンス」とは、ある種の強迫観念のようなものだから(笑)。

カーリー:「patience(忍耐)」だね(笑)。ロマンチックな関係は、ある種の計算や論理だけでは説明できない、少し狂気じみた要素を含んでいると思う。完璧な答えを求めるのではなく、自分だけの答えを見つけ出すような予測不能なもので、だからこそ面白いというか。流れに身を任せて、その時々を楽しみ、心の奥底から湧き出る感情を大切にする。「ロマンス」は、日常のルーティンから抜け出し、特別な瞬間を共有することで、新しい自分に出会う旅のようなものだと思う。今まで経験したことのない感情や価値観に触れることで、自分自身を成長させることができる、そんなエキサイティングな経験なんだ。そうして自分の中にある可能性を引き出し、新しい世界に飛び込むことで、人生を豊かにすることができるんじゃないかな。

シェイン・マガウアンとシネイド・オコナーについて

——今回のアルバムは、昨年亡くなった母国アイルランドの偉大なアーティスト、ザ・ポーグスのシェイン・マガウアンとシネイド・オコナーにささげられています。彼らは2人にとって、またフォンテインズD.C.というバンドにとってどんな存在でしたか。

トム:シェインはいつだって、僕たち全員にとってインスピレーションを与えてくれる存在だった。彼の詩的で、かつ挑発的でいて美しい言葉たちは、僕たちの魂を揺さぶり、心の奥底に眠っていた何かを呼び覚ましてくれるものだった。彼の影響は僕たちの音楽の根底を支える土台だったし、彼との出会いは運命だったと改めて思うよ。

彼が亡くなったことはアルバムのレコーディング中に知ったんだ。僕らはフランスにいて、それでみんなでバーに集まって、彼のことをしのびながら一杯やろうってことになった。まさかこんな別れが来るなんて、本当に悲しかったし、とてもショックだった。彼の突然の死は、今も心の傷として残っている。

カーリー:グリアンが彼を“北極星”だって表現していたんだ。まさにその通りだなって思うよ。キャリアで迷うことがあったらいつも、彼の音楽が道しるべになってくれた。どんなに暗闇の中をさまよっていたとしても、彼の音楽が僕を正しい方向へと導いてくれた。計り知れないほどのインスピレーションを与えてくれたし、彼のソングライティングから学んだことは、僕の音楽の根底を支える礎になっている。彼は僕にとってなくてはならない、唯一無二の存在だった。彼がいなかったら、今の自分はなかったと思うよ。

——シネイド・オコナーについては、前作の「Skinty Fia」でも大きなインスピレーションだったとグリアンが話していましたね。

トム:シネイド・オコナーが亡くなったと知ったときのことは、今でも鮮明に覚えている。心の底から打ちのめされたような衝撃で、まるで胃をえぐられるような感覚だった。アイルランド中が彼女の追悼に包まれ、その光景は今もこの目に焼きついている。彼女の死は自分にとって大きな喪失だった。巨大な文化的喪失であり、でも同時に、大きなインスピレーションも感じたんだ。

もし機会があれば、1990年頃のピンクポップ・フェスティバルで彼女が歌う「Troy」のライブ映像を見てほしい。正直で生々しくて、彼女の音楽が持つ力強さを改めて感じさせてくれる。僕たちの魂に直接語りかけてくるような、音楽に対する情熱を再燃させてくれるような素晴らしいパフォーマンスだった。

カーリー:シネイドはとても激しくて、情熱的な女性だった。彼女の率直な言葉は、いつも僕の心に深く突き刺さった。彼女のように自分の信念を貫き、正直に自分の気持ちを言えるようになりたいって。でも、現実はそう簡単じゃない。だから、彼女のことを思い出すと勇気づけられるんだ。そんな彼女が、世間の目からすれば過激だと捉えられて、批判にさらされたのは本当に残念だったと思う。でも、彼女の勇気ある行動は、多くの人々に影響を与えたと思う。

幸運なことに、亡くなる直前の年に彼女に会うことができたんだ。彼女はまるで、世界の重荷を背負っているかのような女性だった。でも、その瞳には内に秘められた強さが輝いていた。彼女がどれだけ真摯で、情熱にあふれたアーティストだったか。だから彼女に直接感謝を伝えることができて、本当に良かったよ。

PHOTOS:MASASHI URA

■Fontaines D.C.「Romance」
label: XL Recordings / Beat Records
release: 2024.08.23
CD 国内盤(解説書・歌詞対訳付き): 2860円
CD 輸入盤:2320円
LP 限定盤(数量限定 / ホットピンク・ヴァイナル):5280円
LP 輸入盤:4950円
Cassette 輸入盤:2320円
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=14039

TRACKLISTING:
1. Romance
2. Starburster
3. Here’s The Thing
4. Desire
5. In The Modern World
6. Bug
7. Motorcycle Boy
8. Sundowner
9. Horseness is the Whatness
10. Death Kink
11. Favourite
12. I Love You (Live at Red Rocks) *bonus track for Japan

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