ブリティッシュ ホーム ストアズ(BRITISH HOME STORES、以下BHS)は4月25日、破産を申請した。BHSは英国で164店舗、18カ国で70以上のフランチャイズ店舗を構える英国の大手小売りチェーンだ。これにより約1万1000人の従業員が解雇の危機にさらされている。
同社は2015年3月にトップショップ(TOPSHOP)=オーナーのフィリップ・グリーン卿(Sir Philip Green)からリテール アクイジッションズ リミテッド(RETAIL ACQUISITIONS LTD.)が買収していた。申請後、ダフ&フェルプス(DUFF & PHELPS)が管財人になり、BHSをそのままあるいは分割して売却する計画だ。ダフ&フェルプスは「BHSは企業の再構築を行っており、株主はバイヤーを探していたが、交渉は成立しなかった。また、不動産資産の売却も数、金額ともに予想を下回り、さらに現金残高も不足していた。その結果、BHSは契約金を全て払うことが難しく、債権者を守るために破産せざるを得なかった」と発表した。
リテール アクイジッションズ リミテッドはBHSを日々運営するために必要な6000万ポンド(約96億円)を調達できず、さらに5億7100万ポンド(約342億6000万円)の退職金給付を支払えていない。また、ここ数カ月にわたり一等地の不動産を売ったり、地主と契約を再交渉したが、BHSを経営し続けることはできなかった。
BHSは1928年に創立され、洋服からアクセサリー、ギフト、家具まで幅広く取り扱っている。グリーン卿は2000年に同社を2億ポンド(約380億円)で買収し、「トップショップ」「トップマン(TOPMAN)」「ミス セルフリッジ(MISS SELFRIDGES)」などを傘下に持つアルカディア・グループ(ARCADIA GROUP)と共に経営していた。昨年、事業を立て直すために同氏はBHSを売却した。報道によると1ポンド(約160円)で売却し、その後同社の主な債権者の1人になったという。
BHSおよびグリーン卿からはコメントを得られていない。
SAMANTHA CONTI
訳 WWDジャパン編集部