「コーチ(COACH)」は2023年に立ち上げた姉妹ブランド「コーチトピア(COACHTOPIA)」で、世界のZ世代とともに循環型のモノづくりに挑戦中だ。「ベータ・コミュニティー」と呼ぶこのグローバルコミュニティーには、ファッション業界が与える環境負荷への課題認識を共有する学生やクリエイター、環境活動家など約200人が所属する。そのうち日本からは約60人が参加する。コーチジャパンはこのほど、代官山のTENOHA代官山で「ベータコ・ミュニティー」のクローズドイベントを開催した。
「コーチトピア」では「メード サーキュラー(MADE CIRCULAR)原則」に従って商品企画を行う。たとえば「コーチ」の商品の生産工程で発生した端材をパッチワークしたり、あらかじめ修理しやすいような設計したりしながら、ブランドらしいポップなデザインに仕上げている点が特徴だ。「ベータコミュニティー」のメンバーは、商品企画やコンセプト開発、ポップアップイベント、キャンペーンビジュアルへの参加などさまざまな場面に携わる。日本では23年にローンチして以降、売り上げは好調だという。
サステナビリティにまつわるリアルな悩みを共有
イベントには15人程が参加した。冒頭ではコーチジャパンの担当者が「コーチトピア」の活動振り返った後、メンバー同士が同プロジェクトに参加した理由や日々感じるサステナブルなライフスタイルにまつわる悩みなどを共有しながら交流を深めた。
参加者からは「周りの友人にサステナブルファッションを勧めたいが、上手い伝え方がわからない」「サステナビリティに取り組みたいが、忙しいライフスタイルの中では利便性を優先してしまい折り合いの付け方が難しい」といった声が挙がった。コーチジャパンの担当者は、「Z世代の生の声を聞くことができる場作りに意味がある。ブランド側だけでは考え付かないリアルな視点を取り入れる機会になっている」と話す。
イベントに参加した一般社団法人「メディアイズホープ(MEDIA IS HOPE)」の発起人で、メディア向けに気候変動報道の重要性を訴える活動を続ける名取由佳さんは、「以前から『コーチ』については知っていたが、サステナブルなイメージは正直なかった。『コーチ』のような規模感のインターナショナルブランドが、産業全体に影響を与えるようなとてもチャレンジングなことをしてくれていてリスペクトが生まれた」と感想を述べた。
「コーチ」を展開するタペストリーは、2030年度までにグループ全体でスコープ 1、 2、3の温室効果ガス排出量を21年比で42.5%削減し、50年までにネットゼロにすることを目標に掲げる。「コーチトピア」では、グループ全体のビジネスと商品をより持続可能にすべくスピーディーにイノベーションを重ね、大きなスケールでの循環型ファッションの実現を目指している。