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ヨネワールド全開!アートコンビニ「ヨネマート」 アーティストが生み出す“新しいもの”がそろう場所

PROFILE: 左:米原康正/「ヨネマート」キュレーター 右:赤松亮/「ヨネマート」オーナー

左:米原康正/「ヨネマート」キュレーター 右:赤松亮/「ヨネマート」オーナー
PROFILE: 左:米原康正(よねはら・やすまさ):1959年生まれ、熊本県出身。フリー編集者としてギャル雑誌に携わり、その後フォトグラファーとして活躍。90年代女子アンダーグランドカルチャーの扇動者であり、編集者、アーティスト、キュレーター、DJなどさまざまな顔を持つ。2023年春から有楽町阪急と原宿、表参道にギャラリーをオープン。中国のSNS、ウェイボーで約275万人のフォロワーを持ち、TikTok、Douyin、REDBOOKなどのアカウントでも活躍している。愛称はヨネちゃん 右:赤松亮(あかまつ・りょう)「ヨネマート」オーナー: 1991年生まれ、東京都出身。青山学院大学在学中から、アパレルブランド「ベンデイビス」のマーケティングアシスタントを始める。同ブランドのアジア圏マーケティング活動を行う中で米原氏と知り合い、アーティストコラボを中心としたアパレル企画や台湾でのイベント開催などの活動を共にする PHOTO:TAMEKI OSHIRO

国立競技場駅から徒歩10分、パステル調の青い屋根と、柔らかに光るネオンが目を惹く。大きな窓ガラスから見えるのは、淡い配色のポップな内装と、ジャンルを超えて並べられたアーティスティックな商品たち。平日昼間にも関わらず、取材中も多くの方が店を訪れた。そんな“アートコンビニ”「ヨネマート(YONEMART)」は、今年7月にオープンした、アーティストグッズを中心に販売するギフトショップだ。今回、同ショップキュレーターの米原康正氏と赤松亮オーナーに話を聞いた。

“アートコンビニ”「ヨネマート」

店頭には、Tシャツや帽子などのアパレル商品をはじめ、ピアスなどのアクセサリー、花瓶やポストカードなどの雑貨がジャンルレスに並ぶ。それらのほとんどは、まだ名の知られていない若手アーティストの商品や、同店と共同で開発した商品だ。奥には、全国から選りすぐった袋麺やドリンクなどの食料品が並んでいる。アーティストに軸を置きながら、取り扱う商品の幅広さは、まさに”アートコンビニ”だ。

アーティストと共に作るショップ

販売するアーティストグッズのキュレーションを行うのは、“ヨネちゃん”こと米原康正氏。編集者、カメラマンとして知られているが、実は現在、原宿、表参道などで若手アーティストに焦点を当てた自身のアートギャラリーを4軒運営している。米原氏と組んで店を運営し、商品企画などの実務面を手掛けるのは、赤松亮オーナー。赤松オーナーは19年に、共通の香港の友人を介して米原氏と知り合った後、同氏がキュレーターを務めるギャラリーに通う内に親交を深め、「ヨネマート」オープンに至った。赤松オーナーは「アーティストと共に、作品そのものを商品にする方法を考えながら売っていく、アーティストと一緒に作りあげるショップ」であると話す。

同店の狙いは「若いアーティストに、自身の作品で収益を得られる機会を提供する」こと。アート作品を商品としてマネタイズすることは、無名かつ経済的に豊かといえない若者にとって挑戦が多い。そんなアーティストの作品を選び、商品を共同で製作し販売。自身の作品を収益化しながら、知名度、経済力などのしがらみに左右されず、新たに生まれるアーティストが注目されるアート文化の興隆を図っている。「展覧会のような目立った活動ができなくても、作品が商品として成り立つようなアーティストはいる。それをコレクターが買うかどうかというよりも、普通の人がアートをエンターテイメントとして楽しめるような、一般的なギャラリーとは違った提案の仕方をしていきたい」と米原氏。

“若い世代が生み出す 新しいもの”を商品に

「若い世代が生み出す、新しいものが面白い」と話す2人は、アート業界全体が、既に売れている著名アーティストにばかり焦点を当てることで、新たなアーティストが注目されにくくなっている現状があるとも話す。若い世代の生み出す新たなアートを見つけだすことも、「ヨネマート」の役目だ。開店同月には「ART持ち寄りDAY」というイベントを開催。アーティストが店に直接作品を持ち寄り、取り扱う作品を米原自身が吟味する。SNSで募集することで、普段米原氏らと交流がないアーティストも、参加できる企画となっている。米原氏は「“どのようなアーティストか”ではなく、店に合う、お客さんが欲しいと思えるような作品を選んでいる。そこからさらに店に合った商品にするために、一緒に考える作業がしたい」と話す。

現在、美術館やギャラリーに行けば、著名、匿名、社会的意義、歴史的背景、資産価値など、さまざまな文脈を含むアートに出会える。しかし、2人の考えるアートとは、それらから解放された“かっこいい”“かわいい”などの単純明快な感情を引き起こすものだ。そんな商品やアーティストにコンビニ感覚で出会える「ヨネマート」は、今後も作品の持ち寄り企画や、アーティスト個人にフューチャーしたイベントを開催予定。アートの未来を切り拓くこの場所で、次世代の才能がどのように花開くのか、期待が膨らむばかりだ。

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