文化学園は27日、東京・八王子の老舗テキスタイルメーカーみやしんを買い取って再生した文化・ファッションテキスタイル研究所の開所式を行なった。関係者やデザイナーら50人に加え、国会議員や読売新聞や毎日新聞の報道陣も多数訪れるなど、高い関心を伺わせた。みやしんは立体織物や多重織りなどの独自の技術で知られ、気鋭のテキスタイルメーカーとして80年代のDCブランドブームを支えてきたが、経済環境の変化で苦戦が続き、昨年10月に廃業を決めていた。文化学園は、「日本独自の技術を次世代に継承したい」(大沼淳・文化学園理事長)ことから買い取っていた。同研究所は所長を宮本英治・元みやしん社長が務め、シャトル織機やドビー織機を始め、多色の糸を自在につなげる最新鋭の機械「アレンジワインダー」のほか、最盛期のDCブランドのサンプルや設計指示書などが1万点以上残されており、学生の指導やテキスタイル業に携わる若手の人材育成にも活用する。本格的な活動は来年度からで、最新鋭の電子ジャカードの導入なども検討しているという。
みやしん出身で「ミナペルホネン」の皆川明デザイナーは「日本の技術を研究所として再生する意義は大きい。今後は学生だけでなく、"プロ"のデザイナーがどこまで活用できるかどうかもカギになる」と指摘する。一方、地元八王子選出の国会議員の萩生田光一・自民党副幹事長は、「八王子の誇るみやしんが生まれ変わるのは市民にとってもうれしいこと。我々も全力でバックアップしたい」と語った。