米NPO情報機関KFFによると、米国の成人の8人に1人がオゼンピック(OZEMPIC)に代表されるGLP-1減量薬を試したことがあるという。オゼンピックブームを受けて、GLP-1減量薬の副作用の抑制効果が期待できる食物繊維やプロテイン、プロバイオティクスなどの需要が高まっており、小売店はアプローチ方法の改革を迫られている。
米サプリメント専門店ビタミン ショップ(VITAMIN SHOPPE)など一部の専門チャネルは、GLP-1減量薬ユーザー向け商品のコーナーを設置し、筋肉減少や、腸や消化器系の問題などに対処する商品をそろえている。ミュリエル・ゴンザレス(Muriel Gonzalez)=ビタミン ショップ社長は、「10月上旬から、店舗正面のエリアにプロテインとマルチビタミン、プロバイオティクス、食物繊維の商品を集める」と話す。
GLP-1減量薬ユーザーに特化した商品を開発する企業も出てきている。内科と肥満症の認定医であるアレクサンドラ・ソーワ(Alexandra Sowa)が設立した米サプリメントブランド「ソーウェル(SOWELL)」は8月、副作用対策を目的としたサプリメント“GLP-1 サポートシステム”(105ドル=約1万5300円)を発売。スイスに本社を置く世界最大の食品飲料企業「ネスレ(NESTLE)」も最近、GLP-1減量薬ユーザー向けの食品ライン“バイタル・パースート”をローンチした。
米マーケティングコンサルタントWSLストラテジックリテール(WSL STRATEGIC RETAIL)のウェンディー・リーブマン(Wendy Liebmann)最高経営責任者(CEO)は、「食品小売業者によると、店舗全体で消費者の購買行動に変化が見られる。特に、スナック菓子やソーダ飲料の売り上げが減少している」と話す。「直接的なカテゴリーはヘルス&ビューティであろうと、店舗全体でアプローチ方法の再検討は急務だ」と続ける。業界筋は、3〜5年以内に多くの食料品店や健康食品店でGLP-1減量薬関連商品の専用コーナーが設けられると予測している。