ユナイテッドアローズは、辺見えみりをディレクターに起用した新ブランド「コンテ(CONTE)」の旗艦店を東京・青山の骨董通り沿いに9月6日オープンする。同社としては、路面店の出店は約5年ぶり。「コンテ」のターゲットは40代の大人の女性だ。辺見は「私自身、新しいことに挑戦することが難しくなってきたからこそ、ここではお客さまが積極的に新しい自分と出会いたくなるような体験を提供したい」と思いを語った。
高揚感を掻き立てる店内に
ワンフロアの店内は、昭和から続く写真館をリノベーションした。壁は左官材を手塗りで仕上げ落ち着いた空間を演出する。そこに辺見自身が買い付けたビンテージの家具を並べ、「高級感と品、親しみやすさのちょうどいいバランスを目指した」という。取り扱い商品はオリジナル8割、仕入れ2割で構成する。同店限定で辺見が手掛けるスキンケアブランド「ミズカ(MIZUKA)」のフレグランスや陶芸家伊藤環の器なども取り扱い、ブランドが提案する女性像を包括的に表現する。
奥行きのある縦長の設計を意識し、エントランスから店内奥までが見渡せるように工夫した。入り口には一枚板の長テーブルに、「ジル サンダー(JIL SANDER)」などの雑貨を配置し、奥には外から優しく差し込む自然光をイメージしたライティングの下に「コンテ」の服を並べた。辺見は「準備期間には店前を何度も通り店内がどう見えるかチェックした。外から見た時にほかにどんなものがあるんだろう、と高揚感を掻き立てたい」とこだわりを語る。入り口正面に配置した大きな丸い鏡は、店で生まれる縁を大切にしたいという思いを込めた。ブロックガラスで囲った試着室は「自分の世界に没入してもらえるよう」広々とした空間にした。
販売スタッフはユナイテッドアローズの各レーベルから立候補性で募集した。その中から、「コンテ」のコンセプトに共感度の高いスタッフ5人を採用。辺見は「スタッフも自分のスタイルの変化を楽しむ意思がある人ばかり。みんなにはその気持ちを大事にしてお客さまと一緒に年齢を重ねていけるようなブランドにしていこうと話した」という。
順調な滑り出し、9月12日には新宿ルミネ1に2号店出店
「コンテ」は8月にECサイトをオープンしたところ、計画値の約7倍を売り上げた。また「ユナイテッドアローズ」麻布台店など3店舗で開催したポップアップでも計画値の倍の売り上げだった。うちターゲット層の40代女性が約8割を占め、ユナイテッドアローズとしての新規顧客は3割と順調な滑り出しだ。特に人気だったのは、ブランドの顔として打ち出した梳毛を平織りしたメンズライクなトレンチコート。辺見自身のファッションへの悩みを起点とした商品企画がターゲット層に響いた。
神永和洋ブランドビジネス本部SBU部コンテ課課長は「想定以上の反響だ。今後もある程度の規模感を持って成長することを期待しており、都内や地方の都市部での出店を積極的に検討していきたい」と話す。9月12日には、新宿ルミネ1に2号店の出店が決まっている。