ファッション

yutoriのブランドオーディション優勝は「超ハッピー」なアジアンギャル 2日間で232万円売る無敵マインド

PROFILE: さり/「ギャリーロール」ブランドディレクター

さり/「ギャリーロール」ブランドディレクター
PROFILE: 2001年7月4日生まれ、東京都出身。地元スーパーを経営する両親のもとで育ち、高校時代から自身も商品陳列や惣菜作りを手伝う。2020年4月に大学に入学し、経済学を専攻する。24年2月に始動した(動画公開開始は24年6月)yutoriのオーディションに参加。24年8月末に同オーディションで優勝し、yutoriを通して自身のブランド「ギャリーロール」をスタート

yutoriは2024年6月から自社のYouTubeチャンネルでオーディション番組「ファッキンロード」を公開している。優勝者にはブランドの準備金500万円が支給され、自身がディレクターを務めるブランドを立ち上げることができる企画だ。205人から4人まで絞られて迎えた最終回を9月13日に公開し、23歳のさりが見事に優勝を勝ち取った。勝敗は2日間実施したポップアップの売り上げに準じたが、彼女のブランド「ギャリーロール(GALLY ROLL)」は計232万円という圧倒的な売り上げを叩き出した。アパレルでの販売経験はなく「あるのは実家のスーパーでのお手伝いだけ」と笑う彼女だが、ポップアップ開催中は自信に溢れていたという。終始ハッピーオーラを纏う彼女の考え方やブランドの今後について聞いた。

WWD:オーディション応募に至った経緯は?
さり:
大学4年生の冬に、TikTokでオーディション募集の広告を見ました。周囲は就職先が決まっている人も多い時期でしたが、やりたいことが見つからず、卒業後の進路が決まっていませんでした。ですが、私立の中高一貫校に通って附属の大学に進学し、就職が当たり前という環境で育ってきたこともあり、何かをしなくてはいけないというプレッシャーがありました。

このオーディションを見つけた時、1位になれたら自分のブランドもデビューできるし周囲の人を安心させられる。何より新しいスタートが切れるのではと考えて応募しました。オーディション前にyutoriについて調べた時に私がやりたいと考えていたジャンルがなかったので、これは行けるかもという気持ちが湧きました。新しいブランドで新しい風を吹かしたいと思いました。

WWD:参加して良かったと感じた瞬間は?
さり:
自分の周囲にはこんなに自分を助けてくれる人がいるんだと実感し、環境に恵まれたと心の底から思いました。ルック撮影のモデルは友人にお願いしたり荷物の運送などは彼氏が手伝ってくれました。

ポップアップは友人が応援に駆けつけてくれ、合格発表が終わる時間まで待っていてくれました。合格できたという嬉しい気持ちをリアルタイムで皆に伝えられた瞬間が本当に超ハッピー!という気持ちでした。

WWD:落ち込みや悩みはあった?
さり:
1度目のプレゼン時、ブランド名を「ワビサリー」にしたのですが、片石(貴展)社長に「ダサい」と一刀両断されたときですね。オーディション当初、唯一無二のブランドを作らないといけない、とにかく独自性を出さないと、とそればかり思っていました。けど片石社長の言葉で自分らしいブランドを作ればいいんだと気づきました。番組の中でも「アジアンギャル」を自称していたのですが、堅苦しい和のブランドが作りたいのではないと気づき、今の「ギャリーロール」ができました。

WWD:ポップアップの開催前は不安もあった?
さり:
わたし自身はTikTokやインスタグラムのフォロワーが多いインフルエンサーではなく、アパレル経験もなかったので最初は本当に人が来るか不安でした。ですが、オーディションが進むにつれて「応援しています」「ポップアップ行きます」といったコメントやダイレクトメッセージをいただくことが増えた。そういった反応を通して自分のブランドが形になってきていることを実感し、不安は消えていきました。

WWD:ポップアップ当日はどうだった?
さり:
1日8時間オープンしましたが、体感時間は1時間ぐらいでした(笑)。この2日でブランドの良さを来てくださった方に伝えなくてはと考えたら、座っていられず立ちっぱなしでした。来店が大きな一歩なのに、自分の手が回らず放置している状態で購入に繋がらなかったらとてももったいないじゃないですか。1着が1票になるから絶対に逃したくなくて。常に気を配りどのぐらいの声掛けがいいか真剣に考えながら接客をしました。

WWD:接客の経験は?
さり:
居酒屋などでのバイト経験はありましたが、アパレル経験は皆無です。ただ、実家が地元密着型のスーパーを経営していて、惣菜作りや商品陳列を手伝っていました。近所の常連さんと「今日のお惣菜は私が作りました」といったコミュニケーションをとったり、元々おしゃべりが好きなこともあり、これといった経験はありませんが接客に対する自信はありましたね。

なんでも「ギャル」でいい

WWD:自身のブランド「ギャリーロール」はどのようなブランドか?
さり:
ブランド名は「ギャルらしくいる」という意味で、「海外ギャル」をテーマにストリートファッションを展開します。

WWD:ブランドはどのような人に着て欲しい?
さり:
肌見せや海外ファッションが好きな人はもちろんですが、肌見せに抵抗がある人もハードルを感じずに着用できるように作っているので、ギャルではない人にも届いて欲しいです。ギャルのスタイルに憧れがある女の子は結構多いんです。いろんなファッションスタイルや考えを持つ人々を巻き込んで、「着たい服を着ていいんだよ」と伝えられるブランドにできたらと考えています。

WWD:自身が考える「ギャル」とは?
さり:
いろんなギャルがあって良いと思っています。気持ちの面でギャルでもいいし、平成ギャルでもいいし、自分が今やっている海外ギャルでもいい。みんなが前向きにギャルだよねと言えるその気持ちがあったら、なんでもギャルでいいんじゃないかなと思います。

TikTokなどで「ギャルメイク」としてメイク動画を載せた方が「これはギャルじゃない」という意見で叩かれている様子なども見かけますが、そうじゃないでしょ、ギャルって、と思っています。固定概念があるわけでもないし、自由だからこそギャルでしょ、というスタンスが私にとってのギャルです。

WWD:今後挑戦したいことは?
さり:
今はオンラインが主流なので、基本的にはオンライン販売になると思いますが、いずれは海外、特に大好きなニューヨークでポップアップショップを開催したいですね。

あとは「日本で海外ギャルのブランドだったら『ギャリーロール』だよね」という立ち位置になったらめっちゃ熱いなと思いますね。そのポジションを目指していきたいです。

WWD:出店したい商業施設は?
さり:
渋谷パルコにある「ヌビアン(NUBIAN)」が好きで、よく遊びに行きます。あのようなスタイルで店舗を構えられたらかっこいいなと思います。

WWD:自分自身の今後のプランは?
さり:
今は自分の好きなように動ける時代がやっと来た!という気持ちです。ブランドを背負って自分を磨いていきたいです。私自身もブランドも有名になって一緒に成長できたら1番良いと思っています。

あとは、料理や海外が好きなので、料理のYouTubeチャンネルや海外のVlogにも挑戦したいです。得意料理は海鮮パエリア。かなり本格的に作れます!

生まれた時からポジティブだった

WWD:ファッションはいつ頃から好きだった?
さり:
小学生の時に女子小学生に向けたギャル雑誌「JSガール」を毎月購入していました。読者モデルになりたくて、スナップ撮影に行ったりオーディションを受けてみたりしていました。雑誌を読む中でファッションへの興味が強まりました。

WWD:好きなファッションの系統は?
さり:
小学生の時は「メゾピアノ(MEZZO PIANO)」や「バービー(BARBIE)」が好きでした。ダンスを始めたことがきっかけでヒップホップのカルチャーが好きになり、ストリート系のファッションを好んで着用していました。ストリートに寄りすぎるとカジュアルすぎてしまうので、今はセクシーな雰囲気がある海外ギャルが好きです。アジアンビューティーを目指しています。

WWD:ロールモデルはいる?
さり:
誰かにならなくてはいけないという風潮が苦手で、憧れはいないかもしれないです。私はテレビを見ず、SNSもそこまで好きではなくて。デジタルデトックスをよくしますが、ファッション業界はSNSが欠かせないと思うので今後はオンオフをつけていこうと思います。

WWD:取材を通してポジティブさを感じる。その所以は?
さり:
マジでわからないです。生まれた時からのようで、「なんでそんなにポジティブすぎるの!」と母に言われます。例えば、学校のテスト期間のときは全く勉強をしていないのに毎回絶対にいけると確信していました。結果、とても低い点数なのですが(笑)。結果に関わらず、「いける」という自分の中の自信が常にあります。

WWD:特に自分の好きなポイントは?
さり:
大丈夫っしょ、いけるっしょと考えられるポジティブなところとわがままなところです。モンスターなんです、私。自分がやりたいことをやりたいし、自分が予定してた予定がずれると狂っちゃう。周囲を困らせていることもあると思います。ですが、自分に嘘をつかないで生きているところは気に入っています。周囲の理解があってこその性格だと思っているので、そこへの感謝は忘れないようにしています。

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