「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」は9月6日、11年間クリエイティブ・ディレクターを務めてきたグレン・マーティンス(Glenn Martens)の退任を発表した。今後の体制は明らかになっていない。退任に伴い、9月のパリ・ファッション・ウイーク期間中に予定していた2025年春夏コレクションのショーも中止する。
「Y/プロジェクト」は、10年にデザイナーのヨハン・セルファティ(Yohan Serfaty)が起業家のジャイルズ・エレイルフ(Gilles Elalouf)と共に設立。13年にセルファティが癌で死去した後、当時ファーストアシスタントを務めていたマーティンスがクリエイティブ・ディレクターに就任した。ベルギー・ブルージュ出身でアントワープ王立芸術アカデミーで学んだ彼は、ねじれやズレを生かすデザインやボタンやファスナーで着こなしを変えられる構造を取り入れた実験的なアプローチによって、クリエイションに対する高い評価と支持を獲得。「ジャンポール ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)」や「メリッサ(MELISSA)」とのコラボレーションも手掛け、ビジネス面でも世界約150店で取り扱われるグローバルブランドへの成長に貢献した。また、20年10月には「ディーゼル(DIESEL)」のクリエイティブ・ディレクターにも就任。21年には「ジャンポール ゴルチエ」のオートクチュール・コレクションのゲストデザイナーを務めたり、直近ではファッション誌「エーマガジン キュレーテッド バイ(A MAGAZINE CURATED BY)」のキュレーションを手掛けたりと、多忙な日々を送っていた。
ブランドは声明の中で、「グレンのブランドへのユニークな貢献に感謝するとともに今後の活躍を祈っている」とコメント。マーティンスも「ブランドが確立したクリエイティブな芸術性を発展させながら、私自身のビジョンを表現するためのサポートと自由を与えてくれた『Y/プロジェクト』と6月に惜しくもこの世を去ったエレイルフ前CEOに感謝している」と述べている。