「ジバンシィ(GIVENCHY)」は、新たなクリエイティブ・ディレクターにサラ・バートン(Sarah Burton)前「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」クリエイティブ・ディレクターをばっ擢した。米「WWD」の独占取材で明らかになった。2023年12月末にマシュー・M・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)が退任してから空席になっていたポジションが、ようやく埋まることになる。バートンは今週、由緒あるパリのジョルジュ・サンク通りにあるアトリエで働く人々に紹介され、25年3月のパリ・ファッション・ウイークで初のコレクションを披露する予定だ。
サラ・バートンの経歴
同メゾンにとって8人目のデザイナー、そして2人目の女性クチュリエとなるバートンは英国出身。マンチェスターで教育を受けた後、1990年代後半にロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ校でプリントファッションを学んだ。そして、96年に同校の講師の紹介により「アレキサンダー・マックイーン」でインターンをスタート。卒業後の97年、ファッション界の“異端児“と呼ばれた創業者のリー・アレキサンダー・マックイーン(Lee Alexander McQueen)のパーソナルアシスタントになり、2000年にウィメンズウエアのヘッドデザイナーに昇進した。
10年2月にリーが自殺によって40歳でこの世を去った後、同年5月に彼の後任としてクリエイティブ・ディレクターに就任。彼女が初めて一から手掛けた11年春夏は「アレキサンダー・マックイーン」らしいシャープな美学にフェミニンな要素を加えたコレクションで好評を博した。また、11年に英国王室のキャサリン妃のウエディングドレスを手掛けたことでも知られ、同年にブリティッシュ・ファッション・アワード (現ザ・ファッション・アワード)でデザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞。12年には、ファッション業界への貢献が認められ、チャールズ皇太子(当時・現在は国王)から大英帝国勲章(OBE)が授与された。
自身が脚光を浴びるよりもアトリエでの仕事を大切にする控え目なバートンは、創業者の遺志を継ぐ正真正銘のクチュリエとして評価され、カッティング、ボリューム、ドレープを生かしながら新しいシルエットとアティチュードを生み出してきたが、23年10月に退任。「アレキサンダー・マックイーン」ではヴィクトリア朝時代や自然、イギリス各地への旅行から着想を得ることが多く、そのデザインははかなく詩的なものから彫刻的かつ力強いもの、パンクのムードを帯びたものまで多岐にわたった。
「ジバンシィ」は“宝石のように美しいメゾン”
かつてリーも務めた「ジバンシィ」のクリエイティブ・ディレクターに就くことになったバートンは、「宝石のように美しいメゾンである『ジバンシィ』の一員になれることをとても光栄に思う。このアイコニックなメゾンの物語に次の章を綴り、『ジバンシィ』に私自身のビジョンや感性、信念をもたらすことができることにとても興奮している」とコメント。7月に就任したアレッサンドロ・ヴァレンティ(Alessandro Valenti)最高経営責任者は、「サラの素晴らしいキャリアパスとクリエイティブなビジョンは、すでに多くのファンを獲得しており、彼女の指揮の下、『ジバンシィ』は世界の舞台で革新を続け、幅広いオーディエンスを魅了し続けると確信している。彼女が私たちの卓越したアトリエで優れたチームと共に働き、『ジバンシィ』の歴史における新たな章に開く時に、新たな創造的エネルギーをもたらしてくれることに熱い期待を寄せている」と述べた。
また、シドニー・トレダノ(Sidney Toledano)ジバンシィ取締役会会長は「サラ・バートンは卓越したクリエイティブな才能の持ち主であり、私は長年その仕事を熱心に追いかけてきた。今日、彼女が『ジバンシィ』に加わることをとても嬉しく思う。彼女のファッションに対するユニークなビジョンとアプローチは、大胆さとオートクチュールで知られるこの象徴的なメゾンにとってかけがえのないものとなるだろう。彼女のクリエイティブなリーダーシップが、メゾンの将来の成功と国際的な地位向上に貢献すると確信している」と話す。