ファッション

「ビギン」元編集長が「装苑」の改革に着手

 これまで「ビギン」や「メンズ・イーエックス」編集長を歴任し、長年メンズ誌に携わってきた世界文化社の児島幹規(みきのり)・前スペシャル編集2部兼ブランドビジネス本部 部長が昨年10月に文化出版局の「装苑」編集長に就任した。同じファッションでも全く異なるジャンルへの移籍に驚いた業界関係者も多かっただろう。その真意を尋ねると「実はメンズ誌からもオファーをもらっており、そちらに傾きかけていた。でも今のメンズ誌に提案が少ないこと、もう一度正しい価値基準で新しいブランドやモノを見たいと思い決めた」と話す。当初は出版局を雑誌事業部と書籍事業部に分け、その雑誌事業部長として話をもらっていたという。「前日の9月30 日に理事長から突然『装苑』の編集長も兼務でと言われた(笑)」と児島編集長は話す。『装苑』2月号から誌面に携わっているが、ほかにも雑誌事業部事業部長として「ミセス」「ミセスのスタイルブック」、不定期のムック本の監修も行なっている。  

 児島編集長が掲げる「装苑」の新たなコンセプトは、「限られた人のための一冊からマスの中の異端児に」だ。「せっかくすてきな提案ができる本にもかかわらず、読んでくれる人を制限するような提案は今の時代にはまったくふさわしくない。しかも、今の時代はそうしたスタンスが決してカッコよいわけでもない。これまで学生のための教科書といういわれ方をしてきたが、教科書に毎月お金を払って買う人っていない。580円という価格のある商品を買ってもらうために楽しくワクワクしないといけない」という。そのためにアートディレクターを置かず、特集テーマによってデザイナーを代えていく。「明らかな誘導や予定調和などは、感性で雑誌を選ぶ『装苑』の読者層には必要ない。いろんなところに"気づくきっかけ"を用意するが、どこに反応するかは人それぞれ。自分で気づいたことの方が記憶にも残るし、そこが教科書ではないという部分。その意味で言葉を足していく。取材ものに関しては、誰もが理解できるようにわかりやすく、深くは語らず、それとなく。他誌ではできないヴィジュアル表現を単なる写真や作品ではなく何かを伝えるものとして強化していきたい」と話す。

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