サザビーリーグが日本国内における総代理店契約を結ぶオーストラリア発のバッグブランド「ステート オブ エスケープ(STATE OF ESCAPE)」が創業10周年を迎えた。伊勢丹新宿本店では9月17日までポップアップイベントを開催中だ。イベントに合わせ、デザイナーのブリジット・マガウアン(Brigitte MacGowan)と共同創業者のデズリー・メイドメント(Desley Maidment)が来日。2人にブランドの変遷やこれから挑戦したいことを聞いた。
「女性たちが自由に世界を探求する」ために
「ステート オブ エスケープ」のバッグは、特に忙しいライフスタイルを送る30〜40代の女性たちから支持を集める。ほかにはない機能性とデザイン性のバランス感が人気の秘訣だ。メイドメントは「女性たちが外に出て自由に世界を探求し、いろんなことを経験してほしいというのが私たちの根本にある願いだ」と話す。
商品開発には、大の旅行好きだという彼女たちのリアルな視点が生きている。代表的なのは、シグネチャーモデル“エスケープ“。ボディーに使用しているネオプレン素材は軽量で耐久性に優れ、水洗いもできる。ショルダー部分には、オーストラリア国内で調達するセーリーングロープを活用している。耐久性はもちろん、カラフルなロープがデザインにアクセントを加えている。
多くの女性たちの間で「日常使いになくてはならないバッグ」としての口コミが広がり、この10年で取り扱いは約10カ国に。なかでも日本は主力市場だという。国内での卸先は「ロンハーマン(RON HERMAN)」のほか、「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)」「ジャーナルスタンダード(JOURNAL STANDARD)」など約20アカウント。
成功の要因は何か聞くと、「仕事やジム、友人とのディナーまで1日の中でもさまざまなシーンに寄り添えるような見た目の端正さ、持ち運びのしやすさといった多機能性にこだわってきたことだろう。スタイリッシュで機能的な商品を送り出すことが私たちのミッションだ」と話す。
「Bコープ」取得で責任あるビジネスモデルに進化
今年2月には環境や社会に配慮した公益性の高い企業であることを示す国際認証「Bコーポレーション(以下、Bコープ)認証」を取得した。「私たちは創業当初から受注生産性体制で、責任ある事業運営を心掛けていた。それでも『Bコープ認証』というお墨付きを得ることで、取引先に私たちが何者なのか、どんな考えを持っているかより分かりやすい形で伝えられると思った。消費者もいま、何を買うのか、なぜ買うのかにとても意識的になっている。『Bコープ認証』は消費者にとっても良い判断材料にもなるはずだ」とメイドメント。
素材軸では、昨年から台湾のメーカーが製造するカキの貝殻が原料のネオプレン素材や使用済みのペットボトルからなるリサイクルポリエステルの使用を開始した。ストラップに使用しているセーリングロープをアップサイクルしたミニバッグ“アドリフト“シリーズなども発表。「どうやったら素材を無駄なくアップサイクルできるかは今後も考え続けたい」とマガウアン。
社会や環境などさまざまな項目がある「Bコープ認証」の指標のなかでも、「ステート オブ エスケープ」特に「コミュニティー」のカテゴリーの評価が高い。創業当初からオーストラリアの国内生産にこだわってきたことが評価された。2人は国内のモノ作りの現場が次世代に残っていかないことに課題感を感じていたのだという。「当時製造業が強くないオーストラリアで生産パートナーを見つけるのに非常に苦労したが、無駄に生産せず最低発注数量で作れること、目の届く範囲で品質の高いモノ作りするためにもゆずれない部分だった。結果として今、独自のコミュニティーを築けたことを誇りに思う」と振り返る。
今後の目標は、「次の10年も変わらないことだ」という。「やみくもに商品バリエーションを拡大したりはしない。どんな商品も旅とウエルネスのために届けるというパーパスに沿って生み出し、多彩なカラーで多くのお客さまを楽しませたい」と語る。日本では「日本人アーティストなどとのコラボレーションに挑戦し、日本の顧客との関係値も強めていきたい」という。
■ステート オブ エスケープ ポップアップストア
日程:9月4日~17日
場所:伊勢丹新宿本店1階 プロモーションスペース
住所:東京都新宿区新宿3-14-1
時間:10:00~20:00