経済産業省は16日、クールジャパン政策の一環として、日本及び世界の主要国におけるファッション関連の市場及び産業構造を調査・分析した報告書を公表した。経済産業省のウェブサイトで閲覧およびダウンロードすることができる。調査の背景には、日本のファッション市場がここ10年縮小傾向にあり、今後の市場の伸び率も鈍化していること、そして、日本のファッション産業の成長には海外進出が不可欠と考えられていることがある。そのため、国内のアパレル企業やブランドに向け、報告書を制作した。同報告書は、日本のファッション市場の推移や予測を始め、世界の主要国の市場規模やファッション企業の成功事例、海外展開戦略の考察などを表やグラフを交えてまとめている。
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調査によると、中華圏の市場規模は2020年までに60兆円拡大し、113兆円の世界最大の市場になるとみられている。また、北米圏も10兆円増で60兆円の市場規模に成長。東南アジアは大きく成長するものの規模は限定的で8兆円程度なると予測される。価格帯別で最も拡大が期待されるのは、ファストファッションブランドや日本のアパレルブランドなどを含むミドル帯。2020年までに世界規模で66兆円の増加する見通しで、その50%以上を中国が占めるとみられる。
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調査結果を受けて、経済産業省 商務情報政策局 クリエイティブ産業課の伊吹英明・課長は、「海外に本気で進出しようとしている企業からもヒヤリングを行ない、期待できる企業もあった。ただ、全体としてはプレイヤーが少ないと感じた。また、ファッションの場合、圧倒的なマーケット規模のある中華圏マーケットをどう獲れるかで成功が決まると思う。西欧マーケットも成長率はそれほど高くはないが、アッパーミドルには大きなマーケットがある。セレクトショップなどが、ニューヨークやパリに出ていくケースもアリだと思う」と話す。