高級ファッションEC「ネッタポルテ(NET-A-PORTER)」がビューティ事業を閉鎖する。
自社のウェブサイト上でビューティカテゴリのページは維持するが、2025年にアフィリエイトの販売モデルを導入する計画だ。自社では商品の在庫を管理せず、ブランドのD2Cチャネルに誘導して購入を促す。
同社は再編の一環として、2月にビューティ商材の品揃えを縮小した。また、不振のビューティ事業を超高級価格帯に転換するなどしたが、今後はさらに品揃えを縮小する。編集プラットフォームの「ポルテ」は継続し、美容コンテンツは引き続き公開する。
米「WWD」に送った声明で同社は、「グローバルなビューティブランドのために新たなアフィリエイトプログラムを立ち上げる。来年始動し、消費者はブランドのeコマースに直接アクセスして購入を完了する。新たなプログラムでは『ポルテ』とコミュニティを活用して高品質なトラフィックを誘導する」と述べている。
同社は参加ブランドを明らかにしていない。現在は「ラ・メール(LA MER)」や「ル ラボ(LE LABO)」「ディプティック(DIPTYQUE)」「シスレー(SISLEY)」「アワーグラス(HOURGLASS)」「アウグスティヌス バーダー(AUGUSTINUS BADER)」「オリベ(ORIBE)」などを取り扱う。初めてビューティラインを開始したのは2013年で、同年下期には「シャーロット・ティルブリー(CHARLOTTE TILBURY)」のメイクアップラインを小売業者として初めて取り扱った。また、米小売大手のセフォラ(SEPHORA)に進出前の「グロシエ(GLOSSIER)」や「イリア(ILIA)」を扱うなどの功績を残した。しかし競争が激化し、ニッチブランドがセフォラやアルタビューティ(ULTA BEAUTY)などの大手専門店に参入する事例が増え、高級ECがビューティ事業で利益を上げ続けることが困難になってきた。
22年、競合のファーフェッチ(FARFETCH)はビューティECのヴァイオレット グレー(VIOLET GREY)を買収し、100以上のブランドの取り扱いを開始したが、1年後にビューティ事業を閉鎖した。その後、韓国の大手EC企業クーパン(COUPANG)が5億ドルで買収した。また、マッチズ(MATCHES、旧マッチズファッション)は、英小売のフレイザーズ・グループ(FRASERS GROUP)が英投資会社アパックス・パートナーズ(APAX PARTNERS)から5200万ポンドで買収したわずか2カ月後に事業を終了している。