東京デザイナーたちのクリエイションに向き合う意識が、徐々に変わりつつある。コロナ禍で自身と深く向き合った服作りを行い、無二のオリジナリティーを見いだしたデザイナーたちは、その輝きをさらに発展させ、世界に照準を合わせながら、広く発信しようと試みている。今シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京」は参加ブランド数が33と少なめだった分、各デザイナーのアイデンティティーを拡張しようとする気概が際立った。(この記事は「WWDJAPAN」2024年9月16日号からの抜粋です)
中堅たちの表現もより多彩に
海外でのショー経験もある「サルバム(SULVAM)」は、母校の文化服装学院でのショーを通じて、日本の次世代にファッション界発展への思いを託した。「チカ キサダ(CHIKA KISADA)」はストイックなショーで対照的だったが、自身の根幹であるバレエと日常を結びつけようとする試みはさらに進み、表現は多彩に進化。世界を目指す「フェティコ(FETICO)」や「テルマ(TELMA)」も柔らかさを手に入れ、これまでのイメージの更新に成功している。20周年の「ヨシオクボ(YOSHIOKUBO)」は、持ち前のテクニックを、吉本新喜劇とのコラボレーションショーという驚きの演出で発信した。今シーズン一番の熱気で、ファッションショーの新たな可能性を示した。
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