東京のデザイナーズブランドの面白さは、私たちが日本人であるがゆえに、デザイナーが服に込めたストーリーや思いを理解しやすい点にある。彼らは服作りの過程で自身の内面を掘り下げていると、明るい感情だけでなく、暗い感情にもぶつかることがあるだろう。それらを着想源に変え、服として昇華するクリエイションには、人の共感を呼ぶパワーがある。(この記事は「WWDJAPAN」2024年9月16日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
「シンヤコヅカ(SHINYAKOZUKA)」
10周年の節目に、小塚信哉デザイナーが20代のころに制作した絵本をリマスターし、コレクションで再現した。絵本は小塚デザイナーの実体験に基づいたストーリーで、友人との出会いと別離を描いた。揺れ動く心情を、モノトーンのワークウエアと、カラフルなペイントを施したフーディーや、デザイナー自身によるドローイングをプリントした「土屋鞄」とのコラボバッグなどの対比で表現した。チュールレースを用いたアイテムや、絵本の絵柄をプリントしたセカンドスキンは、ブランドのメルヘンな世界観を後押ししつつ、ジェンダーの垣根も越える提案だ。
「ヴィヴィアーノ(VIVIANO)」
タイトルに “My Garden”を掲げ、コレクションの至る部分にバラのモチーフを散らした。ヴィヴィアーノ・スー(Viviano Sue)=デザイナーは「洋服も花も、愛を注ぐと応えてくれる」と話す。アイコンのラッフルとチュールをたっぷり使い、カスケード状に重ねるなどして華やかに仕上げた。透明なスパンコールを一面に挟んだり、白地の生地にジャカードで金のバラを織ったり、生地に多彩なアプローチを加える。ビジネスを意識し、テーラードやベストなどの売りやすいアイテムも増やしたほか、7月に立ち上げたメンズラインのウエアと同素材を使ったルックも登場した。
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