ファッション
特集 NY・ロンドンコレクション2025年春夏

「トーガ」が4年ぶりにロンドンでショー 「他者の労働への敬意」から作るビジネスウエア

古田泰子デザイナーが手がける「トーガ(TOGA)」がロンドン・ファッション・ウイーク最終日の9月16日に、4年ぶりのショーを開催した。2025年春夏コレクションのテーマは、「労働、秩序、ユーモア」。リリースには、「労働の上に成り立ち、秩序から美を生み出し、人生に新たな視点を与えるユーモアを取り入れた」とつづる。

会場に選んだのは、テムズ川近くの歴史的建造物サマセットハウスの小さな1室。一列のベンチシートには、コレクションでも登場するバラや蝶々のブローチをギフトに置いた。古田デザイナーは、「コロナを終えてすぐにフィジカルショーでの発表に戻ったブランドも多かった中で、私たちは自分たちの方法をもう少しゆっくり考えたいと、映像や写真などさまざまな見せ方をしてきた。1つの方向性として見えてきたのが、大きなエンターテイメントなショーではなくじっくり服を見てもらうサロン型のショーだった」と話す。

ショーはたっぷり生地を使ったドレスのようなトレンチコートでスタート。今古田デザイナーの頭の中には、「他者の労働への敬意」が大きなテーマにある。「ファッションの仕事も日常生活も、他人の労働の上に成り立っているということを強く意識している。いろいろな職業に敬意を持ちながら現代のビジネスウエアを解釈したいと思った」と古田デザイナー。膝からボリューミーなフリルがのぞくカーゴパンツ、シャツのようにクリーンに着こなすデニムジャケットなどミリタリーウエアをヒントに現代のワークウエアに落とし込む。そうした流れの中で見る光沢感のあるジャカード織りのミニドレスは、オケージョンウエアというよりも現代女性が着るビジネスウエアに見えてくる。

クロップド丈のライダースジャケットやブロックチェックのテーラードジャケットと合わせるセットアップのスカートは、下からシャツの裾が覗くほどのマイクロミニ丈。ウエストをクロスしたファブリックでつないだワンピース、ラペルを残してPVC素材とドッキングしたテーラードジャケットなど、異なるテクスチャーの素材が自由に組み合わされ予期せぬシルエットが次々と飛び出す。

一見混沌とした世界観の核にある「トーガ」らしさとは何なのか。古田デザイナーは「私もいまだに見つかっていない。でもそこがらしいと思いたい」と答えた。ショーを終えた古田デザイナーは、「ショーってこんなにあっという間に終わるんだな」とこぼした。

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