ダニエル・リー(Daniel Lee)=チーフ・クリエイティブ・オフィサーによる「バーバリー(BURBERRY)」が9月16日(イギリス現地時間)に、2025年春夏コレクションを発表した。今年7月には、業績不振を受けジョシュア・シュルマン(Joshua Schulman)=マイケル・コース(MICHAEL KORS)前最高経営責任者(CEO)が新たなCEOに就きテコ入れを進めている。ビジネスをいかに再び軌道に乗せるのか注目が集まる中、ダニエルは今季もトレンチコートを自由に再構築し、ウエアラブルでリラックスしたムードのワードローブに落とし込んだ。
会場は国立劇場を舞台に、世界有数の芸術賞ターナー賞にもノミネートされた現代美術家ゲイリー・ヒューム(Gary Hume)とともに作り上げた。1990年代のヒュームのインスタレーション“ヘイズ“を着想源に、ライラックのカーペットを敷いた空間には、病院のドアを描いた初期の代表作を大きな防水シートで表現した作品を飾った。ヒュームは「ダニエルから声をかけてもらった時は、とてもうれしかった。ダニエルも私も、モノを創造するメーカーだ。クリエイティブな2人で何かを生み出したいという欲求を共有しながら作り上げる時間はとても楽しかった」とコメントした。
夏を誘う軽やかなエレガンス
コレクションは、ブルーやイエロー、ライラックなどペールトーンが中心でインスタレーションにマッチするクリーンな仕上がりだ。トレンチコートのディテールを残しながらシルクポプリンやリネンで表現するアウターや、エポーレットやハードシェルジャケットのフード部分にあしらったフェザーが、軽やかさを演出する。ゆったりと腰で履くカーゴパンツなどには、アウターを大胆に切ったようなクロップド丈のトップスを合わせる。オイルド生地をユーズド加工したポンチョ風のアイテムなどもある。ダニエルは「夏を誘うような軽やかなエレガンスを感じさせてくれるものに仕上がった。私たちが望むのは、『バーバリー』を着る人々に心地よさと自信を与えることだ」とコメント。
足元は、メンズはローファー、ウィメンズはオープントゥーのミュールやスタッズをあしらったヒールブーツなどが中心。ダニエルの力量に期待がかかるバッグではバーバリーチェックをスパンコールで表現した煌びやかなチェーンバッグもある一方で、ユーズド感のあるレザーやスエードのショルダーなどが登場した。
今シーズンのロンドン・ファッション・ウイーク全体でミリタリーがトレンドキーワードに挙がるなか、同ブランドのアイデンティティーが一際光ったシーズンとなった。