兼松繊維グループは2015年1月1日付で、グループ名をフォワード・アパレル・カンパニーに変更する。兼松繊維はフォワード・アパレル・トレーディングに、フェニックスインターナショナルはフォワード・アパレル・リミテッドになる。社名の変更は、同グループが2012年に香港の大手商社リー&フォングループ(現フォングループ)の100%子会社となった当時からの既定路線だが、新グループ名に「アパレル」の名を付すことで繊維事業のみならず、国内向けの自社ブランドと海外ブランドのインポートを強化する姿勢を鮮明に打ち出す。長ヶ部良一・社長は、すでに兼松繊維の事業も繊維にとどまらなかった背景に触れつつ、「OEM・ODMであれ、ブランドビジネスであれ、バリューのない会社は評価されない。自分たちの価値を突き詰めていったら、自分たちのブランドを作るという結論になった。ブランドを強くすることで、OEM・ODMビジネスも一緒に強くなる。ブランド事業はほぼゼロからのスタートだが、早急に全体の3割に持って行きたい」と語った。2015-16年秋冬から自社ブランド3ブランドを、インポートブランド2ブランドをスタートする。
企画力を強化するため、自社ブランドの開発プロデューサーに手塚浩二イエリデザインプロダクツ社長を起用。「イリアンローブ」などを手がけてきた手塚プロデューサーの発想力と企画力を、フォングループの素材調達力と生産背景を融合。競争力のある価格帯で提案する。手塚プロデューサーは、手始めにメンズの「エレホン(Erewhon)」、ウィメンズの「ステイアー(stayA)」と「ステイシー(stayC)」を2015-16年秋冬シーズンにスタート。「エレホン」にはデザイナーに「ファクトタム」の有働幸司を起用した。初年度は、3ブランド合計で5億円(卸ベース)売り上げを狙う。手塚プロデューサーは「フォワード・アパレル・グループと組むことで、販路やモノづくりについてやれることの範囲がずっと広がった。いいものを競争力のある形で展開する」と語った。
また、海外ブランドのインポートについては、同じく15-16年秋冬からスキーウエア主体の「SPYDER(スパイダー)」、総合スポーツの「2XU(トゥータイムズユー)」の総輸入販売元を務める。海外インポート事業については、同じシーズンからさらなるブランドの導入も検討している。
兼松繊維は、総合商社の兼松から1999年に繊維事業を分社化後、リー&フォングループ(現フォングループ)が2007年に株式の55%を取得。2012年に100%子会社化していた。