ファーストリテイリングは6月15日、アクセンチュアとの共同事業を発表した。"フルタイム""シームレス""ビッグデータ""クラウド"などをキーワードに、従来の顧客体験を超えたデジタル時代の革新的な消費者サービスの開発、そして次世代型の新しいモノ作りやビジネスモデルの構築に向けて協業するという。将来的には合弁会社の設立も予定している。
柳井正ファーストリテイリング会長兼社長は、アクセンチュアをパートナーに選んだ理由を、「15年近く、ファーストリテイリングの情報システムのほぼすべてを構築し、成長を支え続けてくれた、信頼感がある。取り組みを進化させるために、事業提携・合弁事業を決めた」。アクセンチュアは世界中に32万人のスタッフを抱え、世界各国にヘッドクオーターを置いている。FRも東京、ニューヨーク、パリ、ロンドン、上海に拠点を持ち、世界3000店舗、9万人のスタッフを抱えている。「ビジネスのトレンドはグローバル化とデジタル化にある。世界中の人と人、企業と人、サプライヤーとバイヤーなど、社会全体とつながる時代だ。ネット、モバイルコンピューティング、SNS、クラウド、ビックデータなどが現実のものになってきた。すべてが双方向で意見交換し、同時進行で仕事をしていく形にしたい」と続ける。
ファーストリテイリングは先日、大和ハウスとも合弁会社を設立し、有明に世界一のバーチャルフラッグシップストアを作ることを発表している。「世界3000店舗の店と、世界中の工場とわれわれがつながって、バーチャルで一斉に仕事をしていく。調達、紡績、生地作りから物流、店作り、あるいは運輸、そういったものが世界で同時に把握できて、仕事を進めていく。お客さまを中心に。われわれがそういった環境をアクセンチュアと提供していきたい。この事業を通じて、世界を変えていきたい」と柳井会長兼社長。
アクセンチュアのジャンフランコ・カサーティ=成長市場担当グループ・チーフ・エグゼクティブは、「アクセンチュアは32万人以上の従業員を抱え、世界各国でお客さまの成功を助けるために働き、毎日ノウハウを積み上げている。ファーストリテイリングはベストな顧客の一つであり、今回の提携で、そのノウハウや情報、人材などを集約して提供し、成功体験を世界中でリピートしていきたい」と話す。
これまでも基幹ブランド「ユニクロ」などでは、eコマースやSNS、メルマガなどを媒介としたクーポンチケットの利用時などに顧客情報を獲得してきた。今後は、店舗の入店者や購入者を含めて、顧客データを収集する手法を開発し、ビッグデータを解析して情報や商品を提供したり、各々の顧客や消費者の要望や趣向にあった商品を、時間や場所に制約されずに届けるなど、「新しい買い物体験の実現を目指す」。
また、時計や天気、目覚まし用の音楽、ヘアメイクや料理など、生活者に密着した情報を提供するブログパーツやアプリなどを提供してきており、生活者の日常の中に「ユニクロ」が入り込み、コンタクトポイントを増やす施策なども行ってきた。今後はこういったコンテンツの開発なども強化されることになりそうだ。