伊藤忠商事は、ベトナム・ハノイに本社を置く衣料品大手、ベトナム コーウィル ファッション ジョイント ストック カンパニー(コーウィル)と資本・業務提携を結んだ。出資比率や出資金額は非公開。伊藤忠商事は中国に続く市場としてベトナムでの事業拡大を掲げており、今年初めに発表した国営繊維企業のビナテックスとの資本・業務提携に続く案件になる。
コーウィルは2004年設立の新興アパレルだが、国内の経済発展を追い風に急成長を遂げた。メンズの「オーウェン」、ウィメンズの「ウィニー」「ワナフル」など、直営店を含めて国内に200店舗を超える販売網を有している。伊藤忠商事は11年にコーウィルとODM(相手先ブランドの企画・生産)の取引を開始して以来、関係を強めてきた。国民の所得水準が上がり、消費市場として注目を集めるベトナムでのパートナーとして同社を選んだ。資本・業務提携を通じ、伊藤忠商事は同社とのODM取引の拡大やベトナム国内における内販事業の展開を加速する。コーウィルは伊藤忠商事のネットワークを活用し、国内だけでなく東南アジア諸国での出店につなげる。
伊藤忠商事はすでに川上から川下まで広範囲に展開するビナテックスとの資本・業務契約に基づき、ベトナム事業を強化している。日本やアジア、欧米向けの衣料品をビナテックスが国内に多く有する縫製工場を活用して生産・販売。FTA(自由貿易協定)などの関税メリットを利用した貿易の拡大や新規ビジネスの創出などさまざまなシナジーを期待する。