PROFILE: 木津由美子/ビューティ・ジャーナリスト
2024年は、「日本の人口の半数が50歳以上になる」と推計される年だ。そしてボリュームゾーンの団塊ジュニア世代とバブル世代は、実際更年期に突入している。(この記事は「WWDJAPAN」2024年9月23日号付録「WWDBEAUTY」からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
“更年期”という言葉は、なぜかネガディブワードとして独り歩きしたことで、多くの人が受け入れ難いと感じている。しかし“更年期ロス”、つまり更年期症状によって仕事に何らかのマイナスの影響があった人はすでに推計で100万人を超え、更年期離職による経済損失は男女合わせて年間約6300億円(女性は約4200億円)に上るという(NHK「更年期と仕事に関する調査2021」より)。今や「健康経営」は、企業にとって喫緊の課題。そんな状況を背景に更年期症状への理解は少しずつ深まっている。今後は女性のみならず男性も「メノポーズ」について語り合い、さまざまな商品やサービスと共に市場が拡大し、多額の経済損失を生み出している状況が少しでも好転することを願わずにはいられない。
13年、政府が閣議決定した日本再興戦略の中で日本の中長期戦略における4テーマのひとつに「国民の健康寿命の延伸」を掲げてから、「健康経営」への取り組みは本格化したといえる。経済産業省が次世代ヘルスケア産業協議会を立ち上げ、14年には「健康経営銘柄」を選定するなど、「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」が社会的に評価される環境を整備し始めた。医療ライターとして数々の女性誌で活躍する伊藤学さんは、「22年に厚生労働省が『更年期症状・障害に関する意識調査』を実施、24年に経産省ヘルスケア産業課が女性が長く健康に働ける環境整備を広く促す趣旨から、女性特有の健康課題による経済損失額を試算し、社会全体で年間3兆4000億円と推計しました。こうした動きに加え、SRHR(Sexual and Reproductive Health and Rights / 性と生殖に関する健康と権利)やジェンダーへの関心も手伝って、社会全体が大きく動いた感があります」と説明する。
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