LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)主催の「LVMHイノベーションアワード 2024 (LVMH INNOVATION AWARD 2024)」の「従業員体験とダイバーシティ&インクルージョン」部門で、日本企業としては初の受賞を掴み取ったヘラルボニーはこのほど、パリを拠点とするヨーロッパ法人を設立。9月23日(現地時間)に現地法人の設立を報告する記者会見を開催した。
現地法人のヘラルボニー ヨーロッパは、忍岡真理恵・最高経営責任者(CEO)と、小林恵・最高事業成長責任者(CGO)の2人体制。忍岡CEOは来年3月をメドに、小林CGOは今月すでに拠点をパリに移し、世界最大級のスタートアップキャンパスのステーションFで事業を開始する。
ヘラルボニー ヨーロッパはまず、B to B事業を早々に軌道に乗せることを目指す。日本では、ホテルやショップ、「スターバックス(STARBUCKS)」の内装などに、同社が保有する3000点以上の障がい者アートが用いられるほか、日本航空のファースト・ビジネスクラスで配られるポーチや日本酒のラベルなど、さまざまな場所でIP(知的財産)としてのアートを活用し、収益をクリエイターである障がい者に還元している。忍岡CEOは、「将来的な目標は、草間彌生さんの作品のように、トップブランドのスタンダードな商品に障がい者アートが活用されること。“ネクスト・草間彌生”を生み出したい。そのためにもまずは、電車のラッピングやボストなど、アートが街の中に溶け込み、パリ市民の目に留まることを目指したい」と話す。
ヨーロッパ進出に際しては、愛媛県にあるユナイテッドシルクと協業し、10の作品をシルクスクリーンでプリントしたスカーフを発売する。アートのタッチや質感をそのままプロダクトに落とし込めると同時に、ヨーロッパに住む人たちの生活に溶け込みやすい商材としてスカーフを選んだ。ユナイテッドシルクは、愛媛で障がい者と共に蚕を育てている。価格は500ユーロ(約8万円)だ。
このほか、積極的に海外の福祉施設に赴き、さらなる障がい者アーティストの発掘を進める。すでにドイル・ハンブルクとベルギーの施設とパートナーシップ契約を締結したほか、まもなくフランスやイギリスの福祉施設とも提携予定だ。
ヘラルボニーは「LVMHイノベーションアワード 2024 」の受賞特典として、LVMHのイノベーション・インキュベーターによる企業支援プログラムへの参加と、同社および傘下にある75メゾンと連携しながら進める個別メンター制度への参加をスタートしている。先日も「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズ・クリエイティブ・ディレクターを務めるファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)に同社の事業を説明するチャンスを得たという。