文化学園は東京・八王子の老舗テキスタイルメーカーみやしんの用地を買収する。みやしんは「イッセミヤケ」「まとふ」などのデザイナーブランドなどへの造形性豊かなテキスタイル供給で知られてきたが、9月に廃業を決めていた。文化学園の大沼淳・理事長は、「日本の素晴らしいテキスタイル技術を伝承したいと常々思っていた。みやしんの宮本英治・社長が、文化ファッション大学院大学で教授を務めていたこともあり、文化学園から申し出て土地と建物、そして資料などを一括して取得した」という。
取得価額は土地・建物を含め2億円で、来年4月から「ファッションテキスタイル研究所」として運営、所長にはみやしんの宮本社長が就く。織り機10台のほか、みやしんの社員2人も残り、機械の使い方の指導などにあたる。「活用は10年くらいの長いスパンで考えている。いずれは本格的にテキスタイルコースを作り、新しいテキスタイルをクリエートしたいし、新しい着物文化の発信地にもしたい」(大沼理事長)という。宮本社長は、「廃業を決めたものの、なんとかノウハウを伝承できないかとは思っていた。とても理想的な形で残せることができてうれしい」と語った。